日経平均はスピード調整に入る

 先週の日経平均は、1週間で284円下がって2万2,396円となり、10週ぶりにマイナスとなりました。これまでの上昇ピッチが速すぎたことから、スピード調整となりました。

日経平均週足:1989年12月~2017年11月(17日まで)

出所::楽天証券マーケットスピード

 先々週(11月6~10日)の週足で、長い「上ヒゲ」【注】が出ていたので、先週は、調整色が強くなっていました。

【注】長い「上ヒゲ」
1週間のうちに日経平均が急騰急落すると、週足に長い上ヒゲが出る。上昇相場に過熱感が出ているところで、長い上ヒゲが出ると、短期的に反落しやすくなる。

 先週(11月13~17日)の週足には、逆に下ヒゲ【注】が出ています。日経平均が2万2,000円に近くまで急落したところで買いが入り、急反発したため、下ヒゲが出ました。下値では買いたいと待機している資金があることを想起させます。

【注】長い「下ヒゲ」
1週間のうちに日経平均が急落、急反発すると、週足に下ヒゲが出る。下ヒゲが出ると、その後、一気には売られにくくなる。

 先週の週足は、陰線(黒い線)で、まだ、スピード調整は終わっていないと考えられます。今週の日経平均は、売り買いが交錯し、2万2,000~2万2,500円を中心として乱高下することが予想されます。

 

外国人の売り買いが交錯

 この上昇相場を牽引しているのは外国人の買いです。先週の反落も、外国人の売りによると推定されます。本レポートでたびたび指摘している通り、日本株を動かしているのは、ほとんどの局面で、外国人投資家です。

 今回の上昇が始まった9月以降の外国人の売買動向を見てみましょう。

外国人投資家による株式現物・先物売買動向、および日経平均の変動幅:2017年9月4日~11月17日

出所:東証データより楽天証券経済研究所
注:上の表の外国人売買で、プラスは買い越し、▲は売り越しを示す。先物売買は、日経平均先物のみ集計

 外国人の買いで、日本株の上昇相場がスタートするとき、よく見られるパターンがあります。初期は海外ヘッジファンドが先物中心に買い、後から、幅広い外国人の現物買いが増える傾向があります。

 今回も、先物買いから始まり、続いて、現物買いが膨らみました。9月4~22日、外国人の先物買いが日経平均を反転上昇させましたが、この間、外国人の現物売買は、まだ売り越しです。

 9月25日~10月20日は、外国人の現物買いと先物買いが両方そろい、日経平均の上昇が加速しました。

 10月23日~11月10日は、外国人の現物買いが続いていますが、先物は、売り越しになってきています。

 先々週(11月6~10日)は、外国人の現物買いで急騰した後、外国人の先物売りが出て、日経平均は急落したと考えられます。日本株を買い遅れた外国人があせって株式現物を買ってくる中、足の速いヘッジファンドが先物で利益確定したと推定しています。

 目先は、外国人の売買が交錯しそうです。それによって、日経平均が2万2,000円前後で乱高下する可能性があります。 

 

日経平均はスピード調整後に、再度上値トライと予想

 日経平均は、短期的に過熱しており、まだスピード調整が続きそうです。ただし、企業業績の拡大に勢いがあり、日経平均のPER(株価収益率)が14倍台まで低下していることから、ここから大きく売り込まれる可能性は低いと考えています。

 世界政治に、大きなショック材料が飛び出さない限り、スピード調整後に、日経平均は、再度上値をトライすると見ています。