14日の日経平均は、▲194円の19,570円でした。大詰めを迎えている決算発表は、比較的良好な内容といえますが、日米欧で長期金利が反発していることが、日本および世界で株の上値を重くしています。
私は、世界的な金利上昇は、長期化しないと予想しています。金利上昇が続く間は、世界的に株の上値は抑えられますが、金利が反落するタイミングで、世界的に株が底打ちすると予想しています。
(1)世界的に長期金利が上昇
アメリカ・イギリス・ドイツ・日本の長期金利推移:2013年12月30日~2015年5月13日
(2)昨年まで世界的に金利が低下していた背景
以下の2つの要因によって金利低下が進んでいました。
- 世界的なインフレ率の低下
世界経済の成長率鈍化を反映し、近年、世界的にインフレ率が低下しつつありました。そこに、原油急落が追い討ちをかける形で、インフレ率の低下に拍車がかかりました。
- 世界的な金融緩和
日本銀行およびECB(欧州中央銀行)が、量的金融緩和を実施しています。米FRB(中央銀行)は、既に量的金融緩和は終了していますが、それでもまだ緩和的な状態(実質ゼロ金利)を続けています。
(3)今年に入ってから、長期金利が上昇に転じている背景
ドイツの長期金利は、ECBが追加の量的緩和を開始した3月に0.1%台まで下がりましたが、足元0.7%台まで急上昇しています。米長期金利も上昇基調にあり、米国株および世界の株価上昇を抑える要因となっています。
- 原油価格が反発、つれて、欧州などでインフレ率も底打ち
ニューヨークWTI原油先物(期近):2014年4月1日~2015年5月13日
アメリカ・ドイツ・日本の消費者物価指数(総合指数)の前年比上昇率:2013年1月~2015年3月
- 欧州に景気回復の兆し、米景気は4月から持ち直し、日本も回復へ
昨年後半、欧州景気は急速に悪化しましたが、足元、底打ちの兆しが出ています。原油価格急落のメリットが欧州景気にも及び始めています。
米景気は1-3月に失速しましたが、4月以降、持ち直す見通しです。
日本の景気も回復に向かうと予想されます。 - 米FRBは利上げの方針を打ち出している
1-3月の米景気が減速したため、利上げ時期は9月以降に先延べとなる見込みですが、それでも、利上げを実施する方針は崩していません。
(4)世界的な金利上昇はいずれ頭打ちになると予想する理由
- 資源価格の反発はいつまでも続かないと予想
足元、原油など資源価格が反発しているのは「下げ過ぎの反動」と見ています。世界的な資源の供給過剰は簡単には解消しないので、いずれ上昇は頭打ちになると考えています。
- 世界経済の成長鈍化による世界的なインフレ率の低下は構造的
欧州景気に底打ちの兆しはありますが、本格的な景気回復にはつながらないと見ています。日本の景気も回復するものの、インフレ率の上昇は限定的になると予想しています。
- 世界的な金融緩和は長期化すると予想
米FRBは利上げするものの、アメリカのインフレ加速が見られなければ、利上げは早々に(1回か2回で)打ち止めになると予想しています。
<参考>景気・金利・株価の循環
株価を動かす要因で大きいのは、景気(企業業績)と金利です。近年は、金利の影響がより大きくなりつつあります。一般的に以下の関係が成り立ちます。
- 景気低下・金利低下 → 株価は底打ち
- 景気上昇・金利低下 → 株価は上昇加速
- 景気上昇・金利上昇 → 株価は反落
- 景気低下・金利上昇 → 株価は下げ加速