年明けの日本株は軟調なスタートに

年明けの日本株は波乱の展開になりました。1月14日の日経平均株価は一時500円以上も下落するなど、昨年の年末とはうって変わって軟調な値動きが続いています。

しかし、個人投資家の多くは、日経平均株価が軟調な割には投資成績は悪くないのではないでしょうか。実際、筆者や筆者の周りの個人投資家もそう感じています。

そこで、今回は年明けの日本株相場を大局的に分析し、今の日本株はどのような状態にあるのかを解説していきたいと思います。

日経平均株価とTOPIXの現状は?

最初に、日本株の株価指数についての年明けの動きを振り返ってみましょう。

まずは日経平均株価です。今年は大発会(1月6日)以降、昨年末の終値16,291円31銭を一度も上回ることなく推移し、1月14日には15,383円69銭と、一時25日移動平均線を割り込むところまで下落しました。

先週末(1月17日)の終値は15,734円46銭と多少持ち直してはいるものの、再び25日移動平均線(15,738円56円)を割り込むレベルまで落ち込んでいます。

一方のTOPIXは、日経平均株価とはかなり様相が異なります。今年の1月8日には早速昨年来の高値を更新し、さらに1月16日には8日の高値を超えて1,308.08ポイントまで上昇しました。

先週末の終値は1,297.39ポイントと、25日移動平均線(1,269.16ポイント)からはかなり上方にあります。

日経平均株価とTOPIXの株価チャートを見比べてみれば、両指数の値動きの違いがよく分かると思います。

グラフ1 日経平均株価:日足

グラフ2 TOPIX:日足

NT倍率は1月足らずで急降下

こうした動きはNT倍率にもよく表れていて、1月17日現在のNT倍率は12.12倍と、昨年12月25日につけた12.72倍から急落しています。NT倍率が短期間にこれだけ下落することはめったにありません。一般的に、NT倍率の低下は、個人投資家にとって有利な状況をもたらします。

昨年の12月25日までは、NT倍率が一貫して上昇していました。これは、日経平均株価への寄与度の高い一部の銘柄が日経平均株価を押し上げていたためであり、個人投資家の損益状況は日経平均株価が大きく上昇した割には良くなかったはずです。

しかし、昨年12月26日以降現在まではNT倍率が大きく下落しました。これは、今まで大きく値を上げていた、日経平均株価への寄与度の高い一部銘柄が大きく値下がりして日経平均株価が下落しているためです。個人投資家が好んで保有する銘柄はそれほど下落せず、逆に上昇を続けている銘柄も多いため、今年に入ってからの個人投資家の損益状況は意外と堅調なはずです。

「日経平均株価軟調・TOPIX堅調」+「NT倍率の急低下」から見えてくるものとは

外国人投資家の行動パターンの1つとして、日本株の上昇が見込めそうな場合、まず個別銘柄ではなく日経平均先物を買うことがあります。その後、個別銘柄を吟味したうえで、各個別銘柄に買いを入れつつ日経平均先物を売っていきます。つまり投資資金を日経平均株価から各個別銘柄にシフトしていくのです。

このとき、まず先物主導で日経平均株価だけがスルスルと上昇し、NT倍率も上昇していきます。その後、個別銘柄へ投資資金をシフトする際は、日経平均株価は売られるものの個別銘柄は買われるため、日経平均株価よりTOPIXがかなり強くなり、NT倍率は大きく下落します。

昨年の年末から現在にかけては、この動きが起こっている可能性があるのではないかと筆者はみています。

もしくは、外国人投資家により投資スタンスが異なり、日経平均先物を売り仕掛けているヘッジファンドと、個別銘柄を買ってきているヘッジファンドの双方の影響が混ざり合って、今のような相場状況になっているのかもしれません。

仮に日経平均株価が下落しても、個別銘柄の多くが上昇トレンドを維持している限りは、今のところ日本株相場全体としては問題ないと思います。

個別銘柄には強い動きが目立つ

個別銘柄に目を向けると、株価が強い銘柄が結構あります。東証1部銘柄の昨年来高値更新銘柄数をみても、今年に入りほとんどの日で100銘柄を超えています。日経平均株価が一時500円以上の急落をみせた1月14日でさえ、48銘柄の高値更新銘柄がありました。マザーズ、ジャスダック銘柄など、値動きの軽い中小型株の中にはストップ高まで上昇するものもかなり目立ちます。

とはいえ、株価が軟調な銘柄も少なくありません。全面高とはなっていない現在の日本株では、保有する銘柄により、投資成績が大きく異なってきます。今年に入ってからどうもうまくいかないという方は、例えば下降トレンドの銘柄は一旦売却する、株価の動きが強い銘柄に投資資金をシフトする、というように、保有銘柄の入れ替えを検討してみてはいかがでしょうか。

また、ここ最近の特徴として、それまでほとんど動きのなかった銘柄が突如ストップ高まで跳ね上がるなど、突然人気化することがよくあります。これは、相場の地合いは悪くないものの、テーマの焦点や中心銘柄が絞りきれていない場合によく起こります。

ただ、こうした銘柄の株価上昇は短命に終わってしまうこともままありますので、突如人気化した銘柄を翌日の寄り付きで買う、というのはあまりお勧めしません。

上昇トレンド入り間もない銘柄を買い、そうした銘柄が突然噴き上がればラッキー、という程度にとらえておいた方がよいでしょう。

来週以降は3月決算企業の第3四半期決算が本格化してきます。直近の株価の動きは決算を織り込みつつあります。株価が上昇トレンドにある銘柄は、日経平均株価が軟調な動きであってもあわてて売却する必要はないと思います。一方、株価が下降トレンドを続けているような銘柄は、決算であまり良くない数字が発表される可能性が高いので、注意が必要でしょう。