米株のさらなる上昇は割高感のハードルが伴う

 もちろん、こうした市場を取り巻くネガティブな要素が取り除かれたり、軽減できれば、米国株はさらに上昇していくことになりますが、その場合も次のハードルとして「割高感の壁」が控えています。

<図6>米10年債利回りとS&P500の益回りの「イールド・スプレッド」(2024年10月4日時点)

出所:Bloombergデータより筆者作成

 上の図6は米10年債利回りと、米国の株価指数の益回りの推移を示したグラフです。

 株式の益回りとは、「年間のEPS(1株当たり利益)が、株価の何%を生み出しているか?」という考え方を基に計算され、債券の利回りと比較する際に用いられます。計算式は、「EPS ÷ 株価」となります。

 上の図を見ても分かるように、米国の株価指数の益回りは、米10年債利回りと比べて、S&P500はやや上回っていますが、ナスダック100指数やラッセル2000は低くなっています。

 株式はリスク資産、米国債は安全資産ですので、本来の株式の益回りは、米10年債利回りよりも高くなりますが、足元の状況は「リスク資産よりも安全資産の方が得」ということになり、それだけ株式に割高感があることを意味します。

 株式の益回りが上昇するには、先ほどの計算式より、EPSを増やすか、株価が下落していくことが必要になります。まもなく決算発表シーズンが到来しますが、米企業がしっかり業績を伸ばせるかが重要になってきます。

 従って、足元の米国株市場の地合いは意外と不安定かもしれず、目先の株高基調の勢いと賞味期限については、経済指標や企業業績のデータとにらめっこしながら上値を追っていくことになりそうです。