値上げの実施で2024年下期に利益率改善へ、夏場の飲料販売にも期待

現地コード 銘柄名
00322

康師傅控股

(ティンイ)

株価 情報種類

9.30HKD
(7/18現在)

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 中国本土の即席麺最大手である台湾系の食品メーカー、康師傅控股にとっては、今夏の猛暑とアウトドア活動の活況、さらにはベース効果の緩和が飲料部門の売れ行きの加速につながる見込み。短期的には市場シェアの低下が懸念されるものの、製品値上げの実施が持続的な収益成長を後押しする可能性が高い。BOCIは2024年予想PER(株価収益率)で14.9倍という現在株価のバリュエーションに割高感はないとし、魅力的な配当利回りを指摘。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIが7月11日に主催したIRミーティングで、同社経営陣は2024年12月通期の売上高が前年比1桁台前半から半ばの伸びとなる見通しを示した。うち即席麺部門は1桁台前半の増収、飲料部門は1桁台半ばから後半の増収を確保するとの見方。即席麺に関しては工場や建設現場で、4-6月期の需要が弱かったと報告した。同社は観光スポーツ施設、交通ハブ、高速道路など、アウトドア消費関連の販路に対する投資を強化しているが、ほかに病院や学校などのチャネルにも商機があるとの見方だ。一方の飲料部門では、無糖を中心に茶飲料が好調。BOCIは茶飲料、水、ジュース、炭酸飲料の2024年通期の売上高について、それぞれ前年比9.7%増、5.5%増、2.0%増、2.5%増を予想。同社全体の上期の売上高については416億元を見込み、即席麺、飲料がそれぞれ前年同期比2.4%減収、4.0%増収となる見通しを示している。

 同社は2023年11月に飲料の小売販売価格を1本当たり4元から4.5-5元に値上げしたのに続き、2024年4月には1リットル入り茶飲料とジュースの出荷価格を1桁のパーセンテージで引き上げた。即席麺も5月に小売価格を1個当たり4.5元から5元に引き上げたのに続き、この7月に一部カップ麺の出荷価格を1桁台半ばの幅で値上げした。製品の高付加価値化や代理店向け利益の確保、投入コストの上昇圧力への備えなどが目的。BOCIは短期的に販売量や市場シェアに影響する可能性を指摘しながらも、長期的には利益率の拡大につながるとして、値上げの実施を前向きに評価している。

 BOCIは2024-26年の製品値上げによる影響を反映させる形で、予想売上高を微調整。平均販売価格の上昇を理由に、即席麺の粗利益率見通しを上方修正した。半面、市場シェアの維持に向けた出費がかさむ可能性があるとして、販管費に関する予想値を小幅に増額修正。全ての変更を加味し、同社全体の2024年、2025年の予想EPS(1株当たり利益)をそれぞれ2%、4%増額した。全国規模の流通網と主力商品を備え、卓越した実行力を誇る食品・飲料大手でありながら、同社は過小評価されているとの見解。2024年予想PER17.0倍をあてはめ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、中国国内の消費マインドの一段の低迷や競争激化、原材料高騰などの可能性と、食の安全問題を挙げている。