ETFと個別株を組み合わせる

──エルさんとしてはやはり個別株を勧めたいんでしょうか?

 いいえ、個別株だけでなく、個別株とETF、両方持つことを勧めたいですね。株式投資で長期にわたって安定した成績を残すにはリスクヘッジ、つまり分散投資が重要です。

 しかし、投資資金が限られている場合、いくら1株でも購入できるとはいえ、分散するにも限界があります。その点、ETFであれば、何十、何百の銘柄に分散投資するのと同じ効果を得られるからです。

──だとしたらETFだけでも十分なのでは?

 もちろん、ETFだけでも構いません。特に投資に時間も労力もかけたくないという人はETFで十分でしょう。

 ただ、個別株には、ETFを大きく上回るパフォーマンスが期待できるという魅力があります。

 だから、私個人としてはETFをメインにし、何割かを個別株に投資することを勧めたいですね。

──米国株ETFにもいろいろありますが、どのあたりがよいでしょうか。

 誰にでも勧められるという意味では「VOO」「VTI」あたりになるでしょうね。どちらも米国株ETFを代表する人気銘柄で、前者は米国の株式指数、S&P500を構成する大手企業500社、後者はその500社だけでなく中小中堅企業も含めて3,600社ほどの株価の動きに連動します。

──どちらを勧めますか。

 米国株ブロガーの記事などを見ると、「VOO」派と「VTI」派、真っ二つに分かれます。それぞれ信者がいるんです(笑)。

 私はどちらかというと「VOO」が好みですが、過去のパフォーマンスはそう変わりませんし、どちらでもよいと思います。

──この2つ以外だと何がありますか?

 米国ナスダック証券取引所に上場する銘柄のうち、金融機関を除く、時価総額上位100社の指数である「ナスダック総合株式指数」に連動する「QQQ」も面白いと思います。

「VOO」や「VTI」の構成銘柄にもGAFAMは含まれますが、「QQQ」はGAFAMの割合がさらに高いんです。だから、GAFAMの成長率に賭けてみたいという人は「QQQ」がいいかもしれません。

 ちなみに「QQQ」は、GAFAM以外にもITやハイテク関連など成長銘柄が多く含まれるため、過去のパフォーマンスは「VOO」や「VTI」を上回ります。

 ただし、裏を返せば値下がりのリスクも高いということなので、そのことは頭に入れておくべきです。

──エルさんご自身もETFを保有されていますか?

 はい、1つだけ保有しています。「VOO」や「VTI」同様、大手運用会社、バンガードの銘柄である「VIG」です。

 これは過去10年以上増配を続けている米国大型株で構成されるもので、資本財や消費者サービスなどディフェンシブな銘柄が多く含まれます。「QQQ」が成長性に軸を置いた銘柄だとすると、こちらは安定性を重視した銘柄といえます。

──ほかはすべて個別株なのだからETFは安全性に重きを置いているんですね。

 そんな感じですね。私が保有している銘柄が全滅するなんてありえないと思いますが、万が一、それに近い状況になっても「VIG」のようなETFを持っていると、精神的な支えにもなります。

──なるほど。今日はありがとうございました。

米国株で資産1億円を実現!-米国株投資家エルさんインタビュー前編>>
エルさん流 米国株の選び方-米国株投資家エルさんインタビュー中編>>

エルさんの書籍をチェック!