※この記事は2021年7月30日に掲載されたものです。
エルさんが厳選!米国株最強銘柄10選
本格的に米国株投資を始めたことをきっかけに大きく資産を増やし、2019年にアーリーリタイアを実現したエルさんのインタビュー後編をお届けします。
今回は、米国の個別株およびETF(上場投資信託)のなかの注目銘柄について聞きました。
現在は米国株7、日本株3の比率で保有
──エルさんは2019年に早期退職し、FIREを実現されました。今は毎月の給与がないため、会社員時代と同じように投資を続けるわけにはいかないと思いますが、実際はどうなのですか?
2015年に米国株投資にシフトしてから、日本株を買うことはほとんどなかったのですが、退職後、日本株投資を再開しました。
米国株投資に限界を感じたとか、そういうわけではなく、金融機関社員という肩書きがなくなり、何でも買えるようになったので(笑)。それにチャートを眺めたり、銘柄研究したりする時間もできましたし。
──投資資金はどのように捻出しているのですか。
幸いなことに、日本株投資を再開したら、かなり利益を出すことができたんです。2019年だけで2,000万円ほど稼ぎました。
その他、配当金も米国株、日本株合わせると、年間300万円以上ありますから、投資資金に困ることはありません。もちろん利益の一部は生活費に充てていますが。
──今は米国株と日本株の比率は、どうなっていますか?
退職後、日本株を多く買ったので、一時、日本株と米国株の比率は1対1くらいになりました。
しかし、コロナショックを経て、やはり米国株を多めに持っていたほうがよいという結論に至り、今は日本株3対米国株7くらいに戻っています。
──投資の仕方は米国株も日本株も同じ手法ですか?
いえ、まったく違います。米国株は、長期保有を前提に購入します。前に話したように米国の優良銘柄は、基本的に右肩上がりですから、買ったら売らずに持ち続けるだけです。
もちろん、事業の継続が危ぶまれるようなことが起これば手放しますが、今のところそういうケースはほとんどありません。
一方、日本株は長期保有を前提に買うこともあれば、短期的な値上がり益を狙って買うこともあります。
気になる銘柄を証券会社のサイトなどに登録しておいて、割安になったら仕入れる。で、適正価格になったら売るということが多いですね。
──いわゆるバリュー投資ですね。
バリュー投資にこだわっているわけではなく、成長株投資も行います。日本株投資に関しては形にとらわれず、いろんなことを試しています。
──いずれにしても今も資産は増え続けているんですね。
投資の世界は何があるかわからないので安心はできませんが、いずれ2億円、3億円と増やしていけるのではないかと感じています。
GAFAM、ハイテク銘柄以外の注目10銘柄!
──ここからは米国株を始めたいという読者に銘柄選びのアドバイスをお願いしたく思います。エルさんは、著書の中で「エル流 最強の10銘柄」を挙げています。これらはやはり注目ですか。
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■エル流「最強の10銘柄」
1.ビザ(V)
クレジット決済の世界トップブランド。時価総額は米国株13位(2021年7月16日現在)
2.ナイキ(NKE)
世界ナンバーワンのスポーツ用品メーカー。ブランド力と製品開発力がズバ抜けている
3.コストコ・ホールセール(COST)
有料会員制の小売り量販店。景気に左右されにくい生活必需品セクターの代表格
4.ロッキード・マーチン(LMT)
米国最大手の軍用機メーカー。売上げのおよそ7割は米国政府向け
5.マコーミック(MKC)
世界最大の調味料メーカー。米国のみならず欧州でも高いシェアを誇る
6.ホーム・デポ(HD)
世界最大のホームセンター。米国国内を中心に2,000店舗以上を展開する
7.ユニオン・パシフィック(UNP)
米国鉄道会社の最大手。人よりもモノを運ぶ事業がメインなのでコロナの影響が少ない
8.ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
世界最大のヘルスケア企業。医療保険ビジネスと医療情報サービスをメインに手掛ける
9.ダナハー(DHR)
医療関連事業をメインとする複合企業。時価総額17兆を誇る隠れた優良銘柄
10.チャーチ・アンド・ドワイト(CHD)
重曹、洗剤、歯磨き粉など80以上のブランドを展開する老舗日用品メーカー
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私の投資経験に加え、株価の上昇率やリスクなどさまざまなデータを勘案し、この10銘柄を選びました。
──GAFAMは入らないんですか。
私が勧めなくても、皆さん、注目されているでしょうし、あえて外しました。半導体関連などのIT銘柄も除外しています。
今はIT銘柄をメインにしているけど、あまりバランスがよくないので、ほかのセクターにも投資したいという人は、この10銘柄を参考にしてみてはどうでしょうか。
──日本人にはなじみの薄い企業もあります。
前回、銘柄選びのポイントとして「自分で商品やサービスを利用している」ことを挙げましたが、それには当てはまらない銘柄もあります。
ただ、ロッキード・マーチン以外は、誰にとってもなじみのある業種ですから、ハイテク系などに比べると分かりやすいと思います。
ちなみにどれも米国株投資の王道的な銘柄ではあるので、情報はいくらでも入手できます。
──エルさんも10銘柄すべて保有している?
すべて3万ドル以上投資しています。よほどのことがない限り、手放すことはないでしょう。
──今は何銘柄くらい持っているんですか。
米国株だけで40銘柄保有しています。ブログに一覧を掲載していますから、興味のある方はぜひ見て参考になさってください。
ETFと個別株を組み合わせる
──エルさんとしてはやはり個別株を勧めたいんでしょうか?
いいえ、個別株だけでなく、個別株とETF、両方持つことを勧めたいですね。株式投資で長期にわたって安定した成績を残すにはリスクヘッジ、つまり分散投資が重要です。
しかし、投資資金が限られている場合、いくら1株でも購入できるとはいえ、分散するにも限界があります。その点、ETFであれば、何十、何百の銘柄に分散投資するのと同じ効果を得られるからです。
──だとしたらETFだけでも十分なのでは?
もちろん、ETFだけでも構いません。特に投資に時間も労力もかけたくないという人はETFで十分でしょう。
ただ、個別株には、ETFを大きく上回るパフォーマンスが期待できるという魅力があります。
だから、私個人としてはETFをメインにし、何割かを個別株に投資することを勧めたいですね。
──米国株ETFにもいろいろありますが、どのあたりがよいでしょうか。
誰にでも勧められるという意味では「VOO」か「VTI」あたりになるでしょうね。どちらも米国株ETFを代表する人気銘柄で、前者は米国の株式指数、S&P500を構成する大手企業500社、後者はその500社だけでなく中小中堅企業も含めて3,600社ほどの株価の動きに連動します。
──どちらを勧めますか。
米国株ブロガーの記事などを見ると、「VOO」派と「VTI」派、真っ二つに分かれます。それぞれ信者がいるんです(笑)。
私はどちらかというと「VOO」が好みですが、過去のパフォーマンスはそう変わりませんし、どちらでもよいと思います。
──この2つ以外だと何がありますか?
米国ナスダック証券取引所に上場する銘柄のうち、金融機関を除く、時価総額上位100社の指数である「ナスダック総合株式指数」に連動する「QQQ」も面白いと思います。
「VOO」や「VTI」の構成銘柄にもGAFAMは含まれますが、「QQQ」はGAFAMの割合がさらに高いんです。だから、GAFAMの成長率に賭けてみたいという人は「QQQ」がいいかもしれません。
ちなみに「QQQ」は、GAFAM以外にもITやハイテク関連など成長銘柄が多く含まれるため、過去のパフォーマンスは「VOO」や「VTI」を上回ります。
ただし、裏を返せば値下がりのリスクも高いということなので、そのことは頭に入れておくべきです。
──エルさんご自身もETFを保有されていますか?
はい、1つだけ保有しています。「VOO」や「VTI」同様、大手運用会社、バンガードの銘柄である「VIG」です。
これは過去10年以上増配を続けている米国大型株で構成されるもので、資本財や消費者サービスなどディフェンシブな銘柄が多く含まれます。「QQQ」が成長性に軸を置いた銘柄だとすると、こちらは安定性を重視した銘柄といえます。
──ほかはすべて個別株なのだからETFは安全性に重きを置いているんですね。
そんな感じですね。私が保有している銘柄が全滅するなんてありえないと思いますが、万が一、それに近い状況になっても「VIG」のようなETFを持っていると、精神的な支えにもなります。
──なるほど。今日はありがとうございました。
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