米景気堅調のうちに利上げ停止になる?

 FRBは依然として、強硬タカ派姿勢を取り続けていますが、金融不安が続くことにより、いずれ利上げ停止、ハト派転向もあり得るとみています。

 つまり、金融不安の影響として私が考えている以下四つのシナリオのうち、シナリオ1が実現する可能性が高いと考えています。

シリコンバレー銀行破綻から始まった金融不安の影響、四つのシナリオ

出所:筆者作成

 上記シナリオ1を前提に、2023年末の日経平均は3万1,000円まで上昇すると予想しています。ただし、一本調子の上昇は見込めません。まだ欧米の金融不安、FRB利上げによるショック安は続くかもしれません。日経平均は急落・急騰を繰り返しながら、少しずつ下値を切り上げていくと予想しています。

 もう一つの注目点は、金融危機が起こるか否かです。歴史的に、金融危機は、不動産価格が急落して銀行に不良債権が増大するときに起きています。1990年代の日本の金融危機も、2008年の米国のリーマンショックも、不動産価格の下落による不良債権の増加がひきおこしました。

 現在の銀行不安は、金利上昇のピッチが速すぎて保有債券に損失が発生していることが、引き金となっています。まだ不動産関連の不良債権が増加しているとはみられておらず、現時点で、金融危機が起こる状況にはなっていません。

 ただし、オフィス価格が下落し、オフィスローンの貸し手が減ってスプレッドが拡大していることに注意が必要です。このままFRBが利上げを続け、オフィス価格のさらなる下押しがあれば、不良債権が増加して金融危機が起こる可能性はあります。

 メインシナリオとして、上記シナリオ1を考えているものの、シナリオ2・3・4のリスクも残っているので、注意しながら当面の成行を見ていく必要があります。

日本株の投資判断

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 ただし、米利上げが続くことによる短期的なショック安はまだあるかもしれません。時間分散しながら割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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