インフレ峠超え、「米国」にその兆しあり
日本国民の生活に深刻なダメージを与えているインフレですが(ぜいたくの縮小は精神的なダメージにつながりかねない)、他の国はどのような状況でしょうか。
需要増加が原因で起きるインフレ、「ディマンド・プル型」のインフレは、需要増加が起きている国や地域で発生し得ます。しかし、足元のインフレは、原材料価格(≒国際商品価格)が上昇していることで発生している「コスト・プッシュ型」であるため、幅広い国や地域で発生しています。
図:主要国のインフレ率(年平均、前年同期比)2022・2023年はIMFの予測値
上図は、欧州の主要国である英国とドイツ、そして米国、日本のインフレ率の推移です(2022年と2023年は、IMFの見通し)。ウクライナ危機元年となった2022年は、四ついずれの国でも、高水準のインフレに見舞われたもようです。
では2023年は、どうでしょうか。IMF(国際通貨基金)の見通しによれば、英国とドイツは高水準のまま、米国は同危機前の2021年よりも低水準まで、インフレが低下することが見込まれています。
IMFは、2023年は、国や地域によってインフレの大きさが異なる年になると、言っているのです。
ウクライナ危機起因のエネルギーの需給ひっ迫が起きている欧州主要国では、危機が終息する見通しが立たず、まだまだインフレが続く。
一方、2022年に「3倍速」と揶揄(やゆ)された、急速な利上げが一定程度、効果を示し始めたとみられる米国では、インフレは峠を超え、沈静化に向かい始める、というシナリオだとみられます。