今日の為替ウォーキング

今日の一言

世界ではなく、自分自身を征服せよ – デカルト

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 日銀は、日本のインフレ率を下げるのではなく、さらに高くしたいと考えている。物価を安定的に上昇させるためには賃金上昇が不可欠である。しかし、日本の実質所得は他国以上にマイナスが続く。実質賃金がマイナスというのは、生活水準の維持という労働者の最低限の権利が保障されていないことを意味する。

 給料が上がらない、上がるとしても物価上昇に全く追いついていない状況が近い将来改善される期待は薄い。日本の家庭は、生活防衛として無駄な出費を抑え、質素な生活を心がける状況で企業の価格決定権は弱いままで、いつまでたっても値上げできなかった。

 業を煮やした日銀は、大量緩和政策で円安を持続させることで物価高をつくり、国民の意識にインフレ期待を形成してやろうと考えた。物価上昇が続くことが当たり前だという考え(期待)を消費者のマインドに浸透させることで、企業に値上げをしやすくさせるのだ。

 日銀は円安を放置することで輸入インフレを発生させることに成功した。しかしまだ道半ばだ。目的達成のためには「サステナブルな円安」が日銀にはどうしても必要なのである。海外の中央銀行はインフレ期待を制御して物価上昇に歯止めをかけようとしている。日銀はその逆で、日本人のインフレ期待を解き放ち物価を上昇させようとしている。しかし日銀は、需要インフレを起こすことはできていない。

 海外でもインフレ目標の見直しが始まっている。インフレが10%近くまで上昇している現状で、インフレ目標2%に固執し続けるのは、中央銀行の信頼性が損なわれるという理由から、インフレ目標を引き上げようとする議論だ。日銀とは事情が異なる。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成