今日の為替ウォーキング

今日の一言

地獄は地獄を呼ぶ(一つの過失はもう一つの過失に結びつく)

Into The Groove

 米国の労働市場は、すでにオーバーヒート状態だ。

 雇用市場の強さは、米国経済が、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを続けるなかでも力強さを保っている証拠だ。それは重要なことだ。しかし、パウエルFRB議長の本音をいえば、「求人数が多すぎる…」。

 労働市場が均衡に近づくまで求人需要が減ってほしい。なぜか?高い賃金を提示して働き手を求める会社が少なくなれば、労働コストも落ち着くし、インフレ率も下がる。そうすればFRBは利上げペースを緩める余裕ができる。経済をソフトランディングさせられるかもしれない。

 パウエルFRB議長は7月のFOMCで0.5ポイントの利上げが適当との考えを示しているが、ウォラー理事は0.75ポイントを支持している。FOMC内部でも意見が分かれているようだ。

 しかし実際はどうか。少し前のことになるが、米ウォルマートは4月末までに5万人の従業員を募集していた。同社は昨年(2021年)9月に15万人という大量採用計画を発表していたが、十分な従業員集められずにいるようだ。

 労働者を確保するためには、競合相手よりも給料やボーナスを多く支払う必要がある。米国の平均労働賃金は、過去1年で+5.0%以上も上昇した。(ちなみに同時期の日本の平均賃上げ率はその半分以下の+2.1%)最近の調査によると、転職者の半数が10%以上の収入アップ、そのうち9%は50%以上もアップしたということだ。これら労働コストの大幅上昇は価格に転嫁され、インフレ率をさらに押し上げる。

 人手不足は深刻で、いったん従業員を解雇してしまうと次に見つけるのが難しい。だから、たとえ仕事がなくても人材を手元に置いておく会社も増えている。
雇用者数が伸びていないのに、失業率が下がっているのは、「雇用は増えていない」が、「解雇は減っている」からだ。

 米雇用市場におけるNFP(非農業部門雇用者数)は、新型コロナによって一気に大量の職が奪われた翌月の2020年5月以来、 のべ約2、119万人増加した。

 新型コロナによって2020年3月と4月の2カ月間で失われた2、156万人にあと約36万人に迫っている。(民間部門の雇用は、すでに新型コロナ前より多くなった。)

 今年1月から5月までの平均雇用者増加数は、+47.5万人/月なので、次回2022年6月(7月雇用統計)で、雇用市場は新型コロナが奪った雇用者数を数字の上では全て取り返すことができる。

 

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成