実際どのように始めたらいいか?

 仮に、読者が18歳だとして、あるいは18歳の子供を持っている親だとして、18歳にどのように投資入門させたらいいのだろうか。

 筆者は、率直に言って、この年齢から、将来に備えた資産運用を行うべきだとは思わない。しかし、早くに運用を始めて、何年か多く運用にリアルな関心を持った時期を経験することは、将来の運用判断能力の養成に対して有利だと思う。

 1万円ずつ位がいいのか、10万円ずつ位がいいのかは、本人の感じ方や経済事情によると思うが、内外の株式に投資するインデックス・ファンドを18歳の時点から持ってみて、株価の上下とその要因、リスクを取るということの具体的な気分などを経験することが有益だろう。まとまった金額が投資可能ならETFがいいかも知れないが、当初の投資金額が大きくない場合は、ノーロードのインデックス・ファンドがいいのではないだろうか。

 仮に22歳で大学を卒業してから就職して投資に関わるとした場合、18歳から4年間、リアルな市場の状況を自分の投資を通じて経験することの経験としての価値は大きい。この場合、投資する金額の大きさはそう関係無いように思う。

 その時に、どのような相場と遭遇するのかは分からないが、早く投資に関わることによって、リアルな感覚と問題意識を持って時々の経済・金融状況と付き合った経験を何年か長い期間持つことが出来るとすると、これは相当に有効な経験への投資であるように思われる。18歳の本人、あるいは親御さんに、提案してみたい。経験に時間を投資する上で、優れた期待リターンの投資なのではないだろうか。

【コメント】

 2016年に書いた記事だが、18歳で投資を始めることの得失と、始めるとしたら何が大切かに関する内容については、現在も違和感はない。「18歳」で投資を始めることのメリットは、(1)投資の初期設定が済んでいるので卒業・就職して収入を得た時点での投資のスタートがスムーズであることと、(2)大学時代4年分のリアルなマーケットの動きと投資の実際に関する経験があること、の2点だ(大学に進学する場合)。(1)については、ネット証券に口座を開き投資信託の積立を少額で始めて、成人になったらつみたてNISAの口座を作るところまでやっておくといい。積立額は毎月1,000円でも構わない。就職してから増額したらいい。積立の対象は全世界株式(日本を含む)のインデックスファンドをお勧めする。高校で金融教育が始まったが、就職直前の「大学生」は意外に注目されていない。筆者は現在、大学生向けの投資入門の書籍を作っている。(2022年7月1日 山崎元)