4.注目銘柄-オン・セミコンダクター
1.パワー半導体世界第2位
オン・セミコンダクターはロジック半導体とディスクリート半導体の大手です。電力制御や省エネなどに使うパワー半導体では世界第2位の会社であり、この分野が成長ドライバーになっています(PSG:パワー・ソリューションズ・グループ)。また、アナログ半導体、ミクスド・シグナル半導体、高周波回路などのASG(アドバンスド・ソリューション・グループ)、イメージセンサーを中心に各種センサーなどのISG(インテリジェント・センシング・グループ)も事業化しています。
オン・セミコンダクターの2021年12月期4Qは売上高18.46億ドル(前年比27.6%増)、営業利益4.80億ドル(同2.9倍)となりました。パワー・ソリューションズ・グループ、アドバンスド・ソリューション・グループ、インテリジェント・センシング・グループの3事業とも好調でしたが、特に、パワー・ソリューションズ・グループが好調でした。脱炭素化、省エネ、EVの普及などが追い風となりました。
産業別に見ると、自動車、産業、その他の中で、産業向け、自動車向けが好調でした。産業向けはパワー半導体、アナログ半導体、各種センサーなど、自動車向けはEV向け、ADAS向けのパワー半導体、イメージセンサーなどが好調でした。会社側は自動車向け、産業向けを増やす方針です。
表5 オン・セミコンダクターの業績
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時価総額 27,409百万ドル(2022年3月24日)
発行済株数 445.3百万株(完全希薄化後)
発行済株数 431.1百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。
注3:会社予想は予想レンジの中心値。
表6 パワー半導体売上高ランキング
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出所:TECH+より楽天証券作成(元出所はOmdia)
表7 オン・セミコンダクターの事業別売上高
![](/mwimgs/4/4/-/img_44a23d1b4c408fb64eb2cdafd3f5ea1c25042.png)
出所:会社資料より楽天証券作成
表8 オン・セミコンダクターの分野別売上高
![](/mwimgs/e/b/-/img_eb41523e402224c3525c0a436f5a293819549.png)
出所:会社資料より楽天証券作成
2.今期、来期とも業績好調が予想される
2022年12月期1Qの会社側ガイダンスは、売上高18.50億~19.50億ドル(前年比24.8~31.6%増)、営業利益5.10億~5.79億ドル(同4.0~4.6倍)となっています。自動車向け、産業向けの好調、特に市場シェアが高いパワー半導体の好調によって、四半期ごとに業績拡大が続いています。
今1Qの会社側ガイダンスと市場環境を考慮して、楽天証券では2022年12月期を売上高81.00億ドル(同20.2%増)、営業利益23.50億ドル(同82.5%増)、2023年12月期を売上高97.00億ドル(同19.8%増)、営業利益30.00億ドル(同27.7%増)と予想します。
問題はパワー半導体等の製品需要に対して供給が追い付いていないことです。これについては、ファウンドリ(半導体受託生産業者)への委託生産を進めるとともに、300ミリ大型工場の買収によって自社生産体制を強化しました(グローバルファウンドリーズのニューヨークの一部工場を2019年に買収)。また、小規模工場だったベルギー工場とアメリカ・メイン州の工場を売却しました(2022年2月)。生産体制の強化と最適化を進めています。
また、需要が増加しているシリコンカーバイド(SiC、炭化ケイ素)ベースのパワー半導体については、SiCメーカーであるGT アドバンスト・テクノロジーズを2021年8月に買収しました。
3.今後6~12カ月間の目標株価を85ドルとする
オン・セミコンダクターの今後6~12カ月間の目標株価を85ドルとします。楽天証券の2023年12月期予想EPS 5.28ドルに、金利上昇と成長性を考慮して想定PER15~20倍を当てはめました。
中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:グローバルファウンドリーズ(GFS、NASDAQ)、オン・セミコンダクター(ON、NASDAQ)