面白い投資対象がみあたらない。大きなトレンドや値幅が出ている商品がないので、職業的になにかを売買しなければいけない運用者も、とりあえず動いているものに「飛び乗り・飛び降り」を繰り返している有様である。

現在、筆者の定義するトレンドが出ている商品は、豪ドル/ドルとユーロ/豪ドルである。オーストラリアは比較的景気のよい状態が続いているので、豪ドルが消去法で買われている。豪ドル/ユーロが史上最高値を更新したことで、目先筋はユーロ売り・豪ドル買いで相場に参戦している。

ユーロ/豪ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

円高下にある豪ドル/円はトレンドが発生していない。日本の投資家の押し目買い意欲は強いが、現状では78円前半から76円のレンジでの逆張りが無難な相場つきである。

豪ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

円高報道のオンパレードで騒がしいドル/円だが、筆者の定義するトレンドは出ていない。これはユーロ/ドルやユーロ/円も同じだ。1カ月~3カ月程度の市場参加者のコストである移動平均リボンをみると、ドル/円の85円から上が厚い壁となっている。

ドル/円(日足)と移動平均リボン


(出所:石原順)

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

過去に介入が行われた100日移動平均10%乖離の水準は2010年9月9日現在79円95銭まで下がってきている。ここが実弾介入のレベルとなろう。介入の是非を巡っていろいろな意見が出ているが、為替の歴史は政治の歴史である。プラザ合意や中国の人民元相場などマニピュレーション(相場操作)以外のなにものでもない。20年くらい為替相場をみてきたが、円売り介入による相場への影響は、実際のところかなり後になってみないとわからないものだというのが筆者の実感である。

ドル/円(日足)過去の介入実績と100日移動平均線10%乖離(赤)


(出所:石原順)