米株式と円の巡り合わせ

 図3は、米株式相場の赤線で、景気サイクルに沿った「金融相場⇒中間反落⇒業績相場⇒逆金融相場・逆業績相場」の流れをイメージしています。実際には、2020年3月下旬から1年9カ月ほどが金融相場で、2022年早々に中間反落に転じ、同年後半に業績相場に進めるかをうかがっているところです。

 これにドル/円相場(緑点線)の過去の推移と今後の想定を重ねましょう。

 金融相場の初期1年は米株高の一方でドル安円高となり、円ベース評価では、米株値上がり益を為替差損が一部相殺しました。2021年2月に米長期金利急上昇で金融相場第2波(図3:青線)が反落した時、ドル/円は急反発して米株安の一部を円ベースで和らげました。同年後半は、株高とドル高円安がWメリットをもたらしました。

 2022年は早々から、米金利高が株式の金融相場を終わらせ、中間反落に陥っています。ドル/円は米株安の圧迫の一方、米金利上昇の支えに挟まれ、横ばい圏で推移しています。このため、米株式をいったん利益確定売りした投資家は、ドルを保持したまま、来る業績相場へ待機できます。

 来る業績相場期は株高が金利上昇と並走し、ドル高円安を相伴うイメージです。株高と為替差益のWメリットで、慢心しやすいのが投資家の常ですが、最大限の警戒はその先の「Wの悲劇」です。金利上昇後の業績相場終息での株価下落は、現行の低金利時の中間反落より厳しいものになりがちな上、ドル安・円高を伴うでしょう。

 米株投資は別枠のドル勘定で行うと決めている方も、米株20~30%下落にドル/円10~15%下落が重なるインパクトを想像してみてください。

図3:米株式サイクルとドル/円の対応イメージ

出所:田中泰輔リサーチ