停戦への期待遠のく

 先週末、ロシアのウクライナ侵攻後に世界的に株が急反発してことには、2つの理由があります。1つは、ロシアが停戦協議に応じる用意があると発表したこと。もう1つは、FRB(米連邦準備制度理事会)がウクライナショックを受けて、利上げにやや慎重になるとの見方が出たことです。

 ただし、週末に出た報道では、ロシアは停戦協議をせずにウクライナ首都キーウ(キエフ)への侵攻を続けています。停戦への期待が遠のいたことで、今週はしばらくショック安が継続する可能性があります。

 ただし、3月に米利上げ0.5%があるとの予想は減りました。ウクライナ侵攻前、市場のコンセンサス(短期金融市場の織り込み)では、3月15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRBが0.5%の利上げをする予想でした。

 ところが、侵攻後、市場の織り込みでは、3月の利上げは0.25%の予想に変わりました。FRBが利上げに慎重姿勢になるとの見立てです。停戦協議の期待が遠のいたことで、こちらの見通しはしばらく続く可能性があります。

 一方、ロシアへの欧米および日本の経済制裁は強化される見通しです。ロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することをEU・米国が決定し、日本も決めました。

 さらに、ロシアからガスの購入をストップする決定がされると、ロシアへの影響も大きい一方で、ロシアにガス供給の4割を依存している欧州にも大きなダメージが及びます。さらなるエネルギー市況高騰を招き、米インフレ・利上げの圧力がさらに高まるリスクもあります。

それでも少し買いを増やしても良いと思う理由

 私には25年間の日本株ファンドマネジャー経験があります。ファンドマネジャー時代、今のように大きなイベントが起こった時、先行きの予測が難しい時でも、投資判断は毎日下していかなければなりません。

 私にも誰にも、先行き起こることを予測することはできません。先行きは予測できませんが、既に起こったことに基づいて、株式市場でどうリスクをとるべきか考える必要があります。

 こういう局面で、私が重視してきたのは、テクニカル分析です。世界がまっくらになった時が大底で、そこから株が急反発することもよくありました。株価チャートでモメンタムの変化をしっかり見て、市場の動きについていく必要があります。

 先週24日の安値から25日の高値までの反発のモメンタムはかなり強かったので、それが最初の底入れの可能性があると考えました。それが、ここで少しだけ買いを増やしても良いと思った理由です。

 ただし、日米主要株価数の13週・26週移動平均線は下向きに転じており、もう一段下値トライするリスクは残っていますので、時間分散して買い増ししていくべきという基本的な考えは変わりません。