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「大事の義は、人に談合せず、一心に究めたるがよし」 - 伊達政宗

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 今週発表された、民間版の雇用統計であるADP雇用データの1月は予想の+20.7万人に対して、▲30.1万人という驚くほど悪い結果でした。

 今夜発表されるBLS(米労働省労働統計局)の雇用統計が、同じように予想を大幅に下回るなら、すぐに労働賃金を注意深く確認する必要があります。企業が少ない人材を確保するために賃上げを急いでいるならば、それはいずれモノの値段に転嫁されることになり、FRBはインフレ上昇を抑えるために利上げ姿勢をさらに強めることになります。

 逆に予想より強い結果ならば、雇用統計のADPの相関関係は低いことを示します。ADPが予想に役立たないと知ることよりも、なぜそのような大きな違いが発生するのかを検証する必要があるでしょう。

 アメリカの雇用はもう増えないのか?その理由は、1月雇用統計詳細レポート「ベビーブーマーよ、さようなら。インフレよ、こんにちは。アメリカの雇用は、もう増えない。」をご覧ください。

 BLSが今夜発表する1月の雇用統計の市場中心値は、NFP(非農業部門雇用者数)は17.0万人の増加。失業率は3.9%で横這い。平均労働賃金は、前月比0.5%増、前年比5.2%増の予想となっています。

 昨年1月から12月までの雇用者増加者数は月平均49.4万人。NFPの伸びは明らかに鈍化している一方で平均労働賃金の強さが目立ちます。賃金を引き上げることで「残り少ない」労働者を確保しようとする会社が増えているようです。

 米国の労働市場では、2020年4月から2021年12月までの21カ月間で、非農業部門雇用者数は合計約1,880万人増加しましたが、新型コロナ発生前の2020年2月前に比べるとまだ約360万人少ない状況。

 就業者数は2021年1月から12月までの1年間で、毎月平均53.7万人増加しています。今後もこのペースを維持するなら、2022年7月には雇用市場はコロナ前の状態に戻ることになります。しかし、最近の雇用者数の急激な伸び悩みを見ると、達成日は後ずれしそうです。

 1月4日に公表された最新のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録によると、FRBは雇用市場が完全雇用の状態に戻るのを待たず、3月には利上げするとの見方が有力になっています。FRBがコロナ対策として緊急利下げに踏み切ったのは2020年3月3日。それからほぼ2年でFRBは利上げサイクルに入ることになります。当時のマーケットは、世界的低金利が今後40年間続くと考えていたので、隔世の感があります。

 雇用統計でパウエルFRB議長や海外投資家が気にしているのは、非農業部門雇用者数よりも、労働参加率。労働参加率とは16歳以上の就業可能な生産年齢人口に占める労働力人口のこと。11月の労働参加率は、若干上昇して61.8%になりました。労働参加率はコロナ禍前の2020年2月よりも1.5ポイント低く、いまだにその差を埋められていません。

 

今週の重要経済指標

出所:楽天証券作成