長期金利の低下や国内好決算で「全員参加型」の年末相場に期待!

 3日(水)のFOMCでは、米国中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「労働市場の一段の回復を目指すためにわれわれは(利上げに関して)辛抱強くなれる」とハト派(金融引き締めを急がない)の姿勢を強調。

 それがテーパリング開始にもかかわらず、米国株がここまで強く上昇を続ける原動力になっています。

 パウエル発言の影響からか、株価の大敵である長期金利の上昇も止まり、5日(金)には米国の10年物国債の金利が1.4%台に急低下。

 米メディアでは「メルトダウン」の反対語である「メルトアップ(株価の劇的上昇)」という言葉も見られ、理由はよくわからないものの、とにかく上がり続ける一種の”バブル的状況”が続きそうです。

 米国株の中でも今、一番強いのはナスダック市場。ならば、日本でも半導体関連株、IT関連株が上昇しそうだ、というように、「米国株からの類推で上がる株を予測する」ことが株式投資で成功する秘訣かもしれません。

 今週の日本市場は中間期決算のピークを迎えます。

 8日(月)のソフトバンクグループ(9984)の決算では同社の中国関連投資の状況、10日(水)の三越伊勢丹ホールディングス(3099)では内需の今後の回復見通しが注目されるでしょう。

 12日(金)は半導体関連の主力株・東京エレトクロン(8035)やメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(8316)みずほFG(8411)、経営が混乱する東芝(6502)など701社が決算発表します。

 米国では9日(火)発表の10月PPI(卸売物価指数)や10日(水)のCPI(消費者物価指数)など、市場が最も注目するインフレ指標が株価を動かしそうです。

 PPIは前年同月比8.6%増、CPIは5.8%増の予想値。きわめて高い物価上昇が続いていますが、6月以降はどれだけ高くても、FRBが「インフレは一時的なもの」と言い続けていることもあり、株価急落につながっていません。予想値を下回れば逆に株価がさらに上昇するきっかけになるかもしれません。

 一方、中国では10日(水)に中国恒大集団のドル建て債券の利払い最終期限が到来するものの、傘下のネット関連企業を売却するなど資金調達を進めているようです。

 しかし、恒大以外にも中堅不動産会社の当代置業がドル建て債券の元本・利息を支払えないなど、債務不履行ドミノが今後も続きそう。日本株は香港市場の下げにも連動しやすいので注意が必要です。

 中国不動産バブルの崩壊が唯一といっていい不安要素ですが、11~12月は「年末相場」といわれ、株価が上昇しやすい時期。

 業績好調の外需株、コロナ収束で業績の底入れに期待できる内需株、クラウドソーシングやオンライン化の普及が追い風の新興IT株など「全員参加型」の上昇相場に期待できる1週間になりそうです。