今日の為替トレッキング

今日の一言

 心配事の80%は起こらない。さらに起きる20%のうちの8割は「あらかじめ準備しておけば解決できること」で、残りの4%は「実際にその時にならないと手の打ちようがない事象」

Heart of Glass

 7月の米雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が100万人を超え絶好調でした。しかしその次の8月の米雇用統計では、NFPが36.6万人増と伸び悩みました。

 それでも、今回の9月の雇用統計は「上振れするから心配ない。」という声が多かった。学校が始まり、子供の面倒を見るために休職していた人たちが、仕事に戻って来るし、追加失業手当が終了して、収入が減った人たちが仕事を探し始めると、多くのエコノミストが予想していました。

 ところが、BLS(米労働省労働統計局)が10月8日に発表した9月雇用統計によると、失業率は0.4ポイント低下して4.8%になった一方、NFP(非農業部門雇用者数)は19.4万人しか増えませんでした。

 子供(孫)たちが学校に行くようになっても、自分たちは仕事に戻るつもりはない。失業手当が少なくなった影響は、支出の縮小の形で表れているが、労働力の供給増にはつながっていない。

 コロナ後の経済再開でも、雇用者が増えないのは労働市場に構造的な問題が存在するからです。あと数カ月この状況が改善されなければ、「月100万人単位で雇用が増える」といった楽観論は消えることになるでしょう。

 9月雇用統計の結果は、FRB(米連邦準備制度理事会)が緩和縮小を高らかに宣言できるような内容ではありません。それでも、11月に緩和縮小をスタートするのであれば、これでも十分と納得できる説明が必要です。