日本株「買い場」と判断する理由

 9月17日以降の日経平均急落には2つの背景があります。1つは、中国「恒大集団」の信用不安。もう1つは、米国のインフレ・長期金利上昇への不安です。この2つの不安が、日本株の上値を抑える状況がしばらく続くと考えています。

 ただし、2つの不安とも、来年の世界景気を失速させる要因にはならないと考えているので、日本株は買い場と判断しています。

【1】恒大不安

 中国の不動産バブルへの不安は根が深く、簡単には解決しないと考えています。この問題は長期化し、恒大だけでなく他の中国大手不動産にも不安が広がる可能性があります。それが中国景気を抑える要因となりそうです。

 ただし、問題が海外の金融市場に大きく波及するとは考えていません。中国景気の成長率を押し下げる要因になりそうですが、そのマイナス影響を織り込んでも、米景気・世界景気は巡航速度の成長が続くと予想しています。

【2】米国インフレ不安

 天然ガス市況高騰を受けて、米国のインフレが長期化するリスクが意識されました。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が「11月にもテーパリング(金融緩和の縮小)を開始する」と示唆している不安もあり、米長期金利が一時1.55%まで上昇しました。これを嫌気して、ハイテク株比率の高いナスダックの下落率が高くなりました。

 私は、米国のインフレ率が低下するのにしばらく時間がかかると思います。一方、米景気は、リベンジ消費が一巡しつつあることから減速が見込まれています。景気が減速する中でも、 インフレが鎮静化しないことに、不安が高まった形です。

 ただし、私は来年にかけて米国のインフレ率が低下する見通しは変わりません。米景気は減速するものの、景気後退や失速には至らず、巡航速度での成長(GDP[国内総生産]で2%台半ばの成長)が来年も続くと予想しています。

 米国株はしばらくスピード調整が必要ですが、来年、再び上昇トレンドを取り戻すと予想しています。

【3】国内消費は回復へ

 ワクチン接種率の上昇、経口治療薬の開発、感染減少を受けて、来年にかけて日本でも消費回復が見られると予想しています。