中国はアフガン情勢にどう対応しようとしているか
そんな米国の動向、西側諸国間で浮上する見解や立場の不一致を注視しているのが、中国です。昨今のアフガン情勢に対し、中国共産党指導部が抱く戦略は、以下の3点だと私は分析しています。
(1)米国のアフガン戦争失敗を訴える過程で、国際的影響力を向上させる
(2)タリバンを実質的に下支えすることで、「核心的利益」を死守する
(3)結果的に「中国の特色ある社会主義」を堅持する共産党の正統性を強化する
中国の戦略(1)米国のアフガン戦争失敗を訴える過程で、国際的影響力を向上させる
タリバンによる実権掌握が明るみに出て以来、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が、アフガン情勢を議論するために、各国外相との電話会談を精力的に行っています。以下、その日程をリストアップします。
日時 | 会談相手 |
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8月16日 | ラブロフ露外相、ブリンケン米国務長官 |
8月18日 | チャブシオール・トルコ外相、クレシ・パキスタン外相 |
8月19日 | ラーブ英外相 |
8月20日 | ディマイオ伊外相 |
8月24日 | カーフ蘭外相 |
真っ先に露、米外相と会談を行ったのは、今後のアフガン対策を実行していく上で、この2カ国との関係が肝になると踏んでいるからです。
ラブロフ外相との会談では、中露がアフガン情勢への対応で戦略的対話を強化していく旨で合意。引き続き中国は、西側諸国、新興国、途上国を問わず、各国政府と五月雨(さみだれ)式に対話と協議を続けることで、アフガン情勢対応を通じて、自らの存在感と発言権を強化しようとするでしょう。