100%当たる売買シグナルはない

 こういうクイズを出すと、「チャートだけでは今後の株価はわかりません」とお答えになる方もいます。その通りです。チャートに基づく投資判断は、100%当たるものではありません。

 ただし、チャートのパターンを見ることで、統計的に今後上がる可能性が高いか低いか判断することはできます。統計的に、7割の確率で上昇するチャート・パターンがあれば、それは立派な買いシグナルです。

買いシグナルで買ったら、下がってしまった!

 次のクイズです。

<クイズ>冒頭のクイズで買いシグナルが出ていたA社株を買ったら、いきなり下がってしまいました。さて、ここでの投資判断は、売り・買い増し、どっち?

注:筆者作成

 売買シグナルは、天気予報のようなものです。明日、晴れるといっても、雨が降ることもあります。買いシグナルが出ていると言っても、下がってしまうこともあるわけです。

「当たる可能性が70%」であれば、立派な買いシグナルと言えます。それでも、30%の確率で、買いシグナルは外れるわけです。

 以下に、70%の確率で当たるシグナルで2回続けて売買した時の結果を示します。

7割の確率で当たるシグナルで2回売買した場合

注:◎は当たり、×は外れを示す、筆者作成

 2回連続でシグナルが当たる可能性は49%(約半分)しかありません。つまり、7割当たるシグナルで売買しても、2回売買すれば、2回に1回は外れると考えるべきです。

 さて、クイズの答えですが、ここでの買い増しは厳禁です。「売り」が正解です。いったん買いシグナルが出て、出来高が急増して上昇した直後に、悪材料が出て、ドスンと下がったわけですから、ここからは「三十六計、逃げるにしかず」。ぐずぐずしていると、高値で買いついた人が悪材料を見て、どんどん投げ売りしてきます。

 肝に銘じていただきたいことは、以下の法則です。

「いかなる買いシグナルも、直後に大陰線が出れば、強い売りシグナルに変わる」
「いかなる売りシグナルも、直後に大陽線が出れば、強い買いシグナルに変わる」

 チャートを使った売買で一番重要なことは、以下です。「買いシグナルで買っても、外れたら、すぐに損切りすること」

 100%当たる訳でなくても、チャートのシグナルを見て売買するのは意味があることです。7割の確率で上昇するパターンが出たら買いを実行し、上昇すれば利益が得られます。もし3割の確率で外れて下がったら、その時はさっさと損切りするだけです。

 7割当たるパターンのチャートで何回も何回も勝負を繰り返せば、長期的には利益を積み上げることができるはずです。デイ・トレーディングで利益を積み上げていく人は、それが分かっていて、実行できる人です。