米国高配当株2:メルク(MRK)

 1891年、ジョージ・メルクによって設立された世界有数の製薬会社です。NYダウ平均株価を構成する30銘柄の一つであり、時価総額は日本の大手製薬会社3社を足しても、なおメルクには及ばないという巨大企業です。

 がん免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が、日本国内における2019年の医薬品売上高ランキング首位となるなど、米国以外でも幅広くメルクの薬は利用されています。

 時価総額は2,000億ドルで、日本円で約22兆円となっています。

事業の注目ポイント

 事業の中心は、「医薬品事業(Pharmaceutical)」で売上高の約9割を占める中心事業となっており、他に「動物医療事業(Animal Health)」も展開しています(2021年3月期)。 

出所:筆者作成

「医薬品事業」では「キイトルーダ」、糖尿病治療薬「ジャヌビア」「ジャヌメット」、子宮頸(けい)がんワクチン「ガーダシル」「ガーダシル9」などの医薬品を取り扱っており、その中でも「キイトルーダ」が「医薬品事業」の売上高の約35%を上げています。会社側も「キイトルーダ」の売り上げはまだまだ伸びると予想しており、今後もメルクを支える中心医薬品となりそうです。

株式の注目ポイント

 株価は2020年の高値を超えていません。しかし、コロナ禍でも増配しており2011年以降連続増配中です。抗菌薬「ZERBAXA」(一般名=タゾバクタム/セフトロザン)のリコールに関連する減損費用や、新型コロナワクチン開発プログラムに関連する費用などが影響し、EPS(1株当たり利益)が減少したことも2020年の高値を超えていない要因のようです。

 2021年は為替の影響などでEPSが改善すると会社側も想定しており、業績次第で2020年の高値を超えることもあるかもしれません。

業績動向

 2021年4月29日に発表した四半期決算では売上高・EPSともに市場予想を下回りました。しかし、決算を受けての株価の変動はあまりなく、現在は決算発表前の水準を超えて推移しています。

 売上高は前年同期比を上回りましたが、新型コロナワクチン開発プログラムを打ち切ったことで、関連する費用などが利益の減少につながりました。

 次回決算は7月29日開示予定ですが、EPS同様に売上高も市場予想を上回る決算を出せるか注目です。 

注意点

 オルガノン社の分社化(スピンオフ)を2021年第2四半期後半に完了する予定で、分社化することでメルクは特定の領域に経営資源を集中することとなります。その一方で、事業範囲が狭まったため、悪材料が出た際の影響が今まで以上に色濃く出る可能性があり、注意が必要です。

株価動向、配当利回り

配当:2.6ドル
配当利回り:3.25%
株価:79.87ドル(約8,800円)

 権利落ち日は6月中旬予定(権利実施は7月上旬予定)です(2021年5月18日時点で未確定。2020年を参照)。

 配当は2.6ドル、配当利回りは3.25%、株価は79.87ドルで約8,800円から購入できます(2021年5月17日時点)。

 2018年以降の最高値は92.04ドル、最安値は53.27ドルです(終値ベース)。