銀、プラチナ、パラジウムの上昇は、主力の金高と、独自材料によるもの

 金価格が上昇していますが、他の貴金属はどのように動いているのでしょうか?

 以下のグラフは、先週1週間の、4つのジャンル(株価指数、通貨、コモディティ、暗号資産)を横断した、合計24の銘柄の騰落率を示しています。上昇率の上位3位を、貴金属(銀、プラチナ、パラジウム)が独占しました。金(ゴールド)も上昇し、上昇率6位でした。

図:ジャンルを横断した合計24銘柄の騰落率(7月17日と24日を比較)

出所:楽天証券のマーケットスピードⅡなどのデータより楽天証券作成
※パラジウムは楽天証券のマーケットスピードCX内「海外市場」の、中心限月のデータを参照。
※ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
※ドル指数はICEのデータを参照
※騰落率は前々週金曜日の終値と前週金曜日の終値より算出。(前週金曜日終値-前々週金曜日終値)/前々週金曜日の終値

 宝飾向けが消費のメインである金(ゴールド)よりも、産業用の用途の割合が大きい銀、プラチナ、パラジウムの上昇率が高かったのは、株価が上昇し、消費回復期待が生じて、産業用貴金属の消費が増加する期待が高まったため、と考えたくなりますが、上図のとおり、主要国の株価指数は下落しました。

 このため、先週の値動きにおいては、景気回復期待が産業用貴金属の消費を増加させる観測を浮上させ、それにより産業用の用途の割合が高い貴金属の価格が上昇した、というシナリオを描くことには、無理があります。

 株価が下落しても、産業用に主に用いられる貴金属の価格が上昇したのは、貴金属銘柄の主力である金の上昇が、これら3つの貴金属の価格の底上げ要因となったこと、そしてこれら3つの貴金属がもともと持っている、金よりも売買の規模が小さく、多少の材料でも、価格のブレが大きくなりやすいなどの、3つの貴金属それぞれの特徴がさらなる上昇分を作ったと、考えられます。

図:各貴金属の消費内訳(2018年)

出所:トムソンロイターGFMSのデータをもとに、筆者作成