消費税増税論が再起動するのは、いつ?

 また、税制については、トーゴーサン、クロヨンなどと言われた課税所得の捕捉率の問題、税負担の不公平から消費税が導入され、拡大してきた経緯があります。高齢者を支えるといっても、これ以上の社会保険料負担を現役世代に課すのは困難。

 こうした事情を踏まえると、新型コロナが収束して、経済が正常な軌道に乗ったタイミングで、消費税増税の議論が始まると予想されます(既定路線に戻るだけという見方もできます)。

 東日本大震災の際は復興税という形で時限つきでしたが、当時よりも、少子高齢化も進んでいますし、政府債務は悪化、格付けも低下しているので、(どのような名目になるかは分かりませんが)「コロナ税」については、恒常化するでしょう。

日本銀行は引き続き身動きとれず?

 これまでは主に財政・政府側を見てきましたが、経済政策のもう片方の柱になる金融政策はどうなるのでしょうか。こちらについては、端的に言えば、当分の間、身動きがとれない状態が続くと考えられます。

 こう考えるにはさまざまな理由がありますが、

(1)国債の安定消化の前提として日銀によるYCCがあること
(2)金利を上昇させようにも、日銀当座預金の残高が巨額に膨らんでいるので、金融機関が金融資産を購入する原資が有り余っていて金利が上がりにくいこと
(3)もし、金利を上げようとするのであれば、日銀当座預金に付利をして、金利水準全体を底上げする必要がありますが、その際は、日銀の支出が増えて、日銀が債務超過になりかねないこと

 が挙げられます。

 また、政府との共同声明で、「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%」としています。政府との共同声明がどのような位置づけになるのかは意見が分かれるところがありますが、政府と日銀の契約であって、日銀単独では反故(ほご)にできないと解釈されることが一般的でしょう。

 このため、2%目標を達成するか、新たな共同声明を発表しない限り、緩和的な状態が続くことになります。