19年に97%増益、5G基地局配備も一段の増収余地に疑問符

現地コード 銘柄名
00788

中国鉄塔

(チャイナ・タワー)

株価 情報種類

 1.68HKD
(3/19現在)

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 中国鉄塔の19年12月本決算は、純利益が前年同期比97%増の52億元と、市場コンセンサス予想を上回る一方、BOCIの予想から3%下振れた。通期売上高は6%増の764億元と、BOCIの予想通りの水準だった。BOCIは中国国内で5Gネットワークの配備が急速に進む中にあっても、同社の増収余地が限定的となる可能性を指摘。20-21年の利益見通しを減額修正したのに伴い、目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

 19年本決算を振り返ると、鉄塔ビジネスの売上高は前年比4.1%増の714億元と、BOCIの予想通り。ほかに、屋内分散アンテナシステム(DAS)事業、トランスセクター・サイト・アプリケーションおよび情報(TSSAI)事業の売上高がそれぞれ46.1%増の26億5,800万元、70.2%増の20億8,000万元だった。EBITDAマージンは前年を16ポイント上回る74%と、これもBOCIの予想通り。期末配当は1株当たり0.015HKドルの予定であり、19年の配当性向は前年の63%を下回る60%となる(中国会計基準の下で適用される10%の法定準備金を除く)。営業キャッシュフローは比較可能ベースで前年比15%減の387億元。売掛債権回転率が81日に達したことが影響した(前年は61日)。

 19年の設備投資は前年比2.5%増の271億2,300万元だったが、続く20年の設備投資計画は280億元。うち5G向けは178億元で、主に基地局の電源機能のアップグレードやバックアップ電源の設置に振り向ける。

 一方、5G基地局のレンタル料金は従来型基地局を上回る水準に設定されるが、経営陣によれば、その上乗せ額は設備の配置状況や、キャリア各社による設備の共有の度合いによって決まる運び。具体的には、無線伝送システムを装備した新たな5G基地局のレンタル料は30%上乗せされ、それ以外の基地局は10%程度となる見込み。19年末時点ですでに商用化されていた5G基地局3万8,000カ所にあてはめると、5割が30%、3割が10%の上乗せ対象。残る2割は追加料金なしになるという。

 BOCIは急速な5G基地局の整備にもかかわらず、同社の増収余地が限定的となる可能性を指摘している。5G基地局の配置が基本的に、4G基地局のソフトウェアのアップグレードを通じて行われる可能性が高く、新たな屋外無線通信ハードウェアの設置が必要なくなる可能性があることが理由だ。また、2G周波数の上位転換や2G基地局の廃止といった動きにも言及し、通信キャリア各社が同社に対して支払う既存ネットワーク向けレンタル料金の縮小につながる可能性があるとした。

 BOCIは20年、21年の予想純利益をそれぞれ7.7%、10.4%減額修正し、新たに66億元、81億元に設定。これに伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を下方修正した。同社株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。