入居者の退去はピンチではなくチャンスと捉えよう!

【た】退去時は 賃料上げる リフォームを

 入居者が出てしまったら普通のオーナーは、ピンチと考えてしまうことでしょう。しかし、前向きなオーナーは、この状況を収益獲得のチャンスと捉えています。マンション投資では、退去時に賃料を上げるリフォームをすることで、大きなビジネスチャンスを得ることができるのです。その点を理解しているかが、大きな「差」になります。では、退去時におけるリフォームの費用対効果を確認していきましょう。

 例えば、相場賃料8万円の物件があったとします。この物件に追加で6万円程の原状回復費用を上乗せし、プチリフォームを実施した結果、家賃が8万5000円にアップしたケースを考えてみましょう。追加のリフォーム費用は6万円、リフォームによって上がった家賃は月額5000円、これは年間6万円に相当します。

 つまり、6万円の追加費用をかけ、年間6万円の収益を得る訳ですから、年間の費用対効果は100%です。このように、プチリフォームは非常に費用対効果が高いのが特徴なので、空室時には真っ先に検討すべき事項になります。仮に、この8万5000円の家賃が6年間続けば、6万円(リフォームによりアップした年間賃料)×6年間で36万円の収益を生み、リフォーム費用の6万円を除けば30万円の収益を得たことになるのです。

[図表1]原状回復の費用対効果の考え方

 そして、次回の空室時に、相場より高い賃料が取れるよう再度プチリフォームを実施し、費用対効果の高い投資収益を継続して得ていくように再投資しましょう。ただ、そのプチリフォームの原資は、得た収益の30万円から捻出すれば、オーナーが新たに身銭を切る必要もありません。得られる収益の総額が少ないので軽視されがちですが、プチリフォームを繰り返していくことは、投資効率を上げていくためにも非常に重要なテクニックと言えるのです。

◆リフォームで賃料を上げれば、資産価値の維持にも繋がる

 プチリフォームは、費用対効果の高い投資であること以外にも意味があります。高い賃料を維持することは、資産価値の維持にも繋がっていくからです。一般的に不動産価格の決め方は、「1.原価積み上げ法」「2.取引事例比較法」「3.収益還元法」の3種類があります。この中で収益物件の価格を決める際に用いられる価格の決め方は、収益還元法です。そのため、収益還元法の計算方法をしっかり理解することで、マンション投資における売却は、上手くコントロールできるようになります。

 まず、収益還元法の計算式は、「年間家賃収入÷還元利回り=取引価格」です。式を組み替えれば、利回りの計算になる収益物件の基本的な方程式とも言えます。ここで見慣れない言葉である、還元利回りについて確認しましょう。

「還元利回り」とは、キャップレートとも呼ばれ、エリアや物件ごとに投資家が期待する利回りのことで、簡単に言うと成約している相場利回りのことを指しています。どの程度の年間家賃収入を得られるかが、価格を決定する際の基準になるため、賃料を維持することは資産価値の維持に大きな効果を発揮するのです。

 ここで、簡単な比較をしてみましょう。収益還元法で計算した場合、還元利回りが5%のエリアの物件で、「年間家賃収入が100万円と106万円では、どれくらい価格差があるのか?」の比較になります。

 年間家賃が100万円の場合「100万円÷5%=2000万円」で106万円の場合「106万円÷5%=2120万円」と、年間家賃収入が6万円違うだけで、取引価格は120万円も差が生まれるのです。

 このように家賃を上げるプチリフォームは、費用対効果も高く、資産価値の維持にも繋がる意味のある投資になります。空室の際には、チャンスと捉えて前向きに対応することが大切です。