「退職金・企業年金」の額を知っている人は3人に2人

「老後に2,000万円」という言葉が、それだけで話のつかみとして使えるほどに国民の共通キーワードとなるとは2カ月前に誰が予想したでしょうか。「人生100年」というキーワードとともに、これからの老後資産形成を考えていくにあたって共通認識が増えたのであればそれは良いことです。

 しかし、誤解があって不満や怒りがまだ残っているようなら「老後に2,000万円」の認識の広がりはもったいないことだと思います。これはむしろ、「教えてくれないお金の常識」がオープンになったと考えるべきだからです。

「退職金とプラスアルファの資産形成をして引退しよう」というのは本来、多くの人が目指していることですが、具体的な必要金額はよく分からないままでした。特に退職金や企業年金への無理解と無関心は深刻です。

 あなたの「老後に2,000万円」に退職金・企業年金はカウントしていいのに、その金額を知らない人が多すぎるからです。

 金融庁の報告書でも、フィデリティ退職・投資教育研究所のアンケート調査結果を紹介していますが、なんと「2人に1人は退職直前まで退職金額を知らない」というデータがあるほどです。

 データはなかなか衝撃的です。退職時点まで金額を知らなかった人が31%、退職前半年くらいまで金額を知らなかったが20%ですから、2人に1人が該当します。これに1年以内に知った人(12%)を足すと、59歳になるまでほぼ3人に2人は自分の退職金額を知らなかったというのです(59歳というのは60歳定年とした場合)。

 このような状況で、老後のための資産形成が計画的に成り立つはずがありません。「老後に必要な額の目標」もなければ、「そのうち退職金・企業年金に期待できる金額」も知らずに、どうしてiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を計画的に利用できるでしょうか。

 しかし「退職金額なんてどこで調べたらいいのか分からないよ」という人も多いと思います。そこで、退職金・企業年金の専門家の顔も密かに持っている私が、「退職金・企業年金の調べ方」についてアドバイスしてみたいと思います。