投資アドバイザーの選択と3つのビジネスモデル

 個人が投資アドバイザーを選ぶ場合に、一応の原則として、アドバイザー側のビジネスモデルは、「教育的親切型」が最も良く、次いで「残高フィー型」、最も警戒を要するのが「取引手数料型」だと、筆者は考えている。

 ただし、どのビジネスモデルを採るにせよ、その他の問題として、実質的な手数料の大小と、アドバイザーがどの程度の運用知識を持っているのかという点を評価する必要がある。


アドバイザーの運用知識の評価について

 そもそも、アドバイザーの運用知識を正しく評価できるくらい運用に詳しい個人は、アドバイザーを必要としないだろうが、できればアドバイザーの運用知識のレベルをテストできるといい。

 運用の世界には、「なんとなく正しそうだが、良く考えてみると明らかに違う」という話がいくつもある。こうしたもののいずれかをテストに使うといいかも知れない。

 たとえば、「退職後の高齢者の資産運用は、利息・配当・分配金などのインカムゲインを得ることを中心に考えることがいいのですね?」と質問してみた時に、「そうです」、「そう言われています」などと肯定的に答えるアドバイザーは、正しいお金の扱い方を知らない。現実には、インカムゲインで高齢者を釣る非効率的な運用商品が多く(奇数月に分配する投資信託などはNG商品の典型だ)、こうしたものを的確に批判し、対案を提示できないのでは困る。実際には、効率的な運用を行いながら、運用資産を適宜取り崩して普通預金に回して生活費にあてたらいい。

 また、「国内株式のアクティブ・ファンドで、私が投資したら良いファンドがありますか?」と質問した時に、具体的なファンド名を挙げて答えるアドバイザーは、ダメなアドバイザーだ。アクティブ・ファンドの優劣は事前にわからないのに、好き嫌いか、あやふやな情報の下に、特定のファンドを挙げるのだから、その人物はアドバイザーとして無責任だ。
 現実には、とても他人にアドバイスできるような知識を持っていない人が、職業的な投資アドバイザーを業としている場合が多いので気をつけよう。

 自信を持ってアドバイザーを評価することは普通の個人には難しいかも知れないが、アドバイザーを使うよりも前に、アドバイザーの良し悪しを評価できるように、なんらかの知識を書籍などで得ておくことが好ましい。

「良さそうな人だから信用した」、「プロだから、大丈夫だと思った」というような理由で、自分のお金をアドバイザーに任せてはいけない。