17年上期の2桁減益局面を脱却へ、7-9月以降に業績回復見通し

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国中車股フン有限公司
(シーアールアールシー)
 7.32 HKD
(10/25現在)
 株価
 企業情報
 チャート

 株洲中車時代電気(03898)の2017年7-9月期決算の利益は予想から下振れたが、BOCIはその親会社である中国中車の同期決算を楽観している。2017年6月中間期には前年同期比23.4%の減益だったが、7-9月期には増益決算に転じると予想。主にEMU(動力分散式高速車両)の引き渡しペースの加速や機関車販売の倍増が寄与するとみて、下期の利益見通しを増額修正した。また、EMUの新規受注の増加や、中国鉄路総公司(CRC:国内の鉄道建設および運営を担う国有企業)による新たな鉄道建設計画の策定が支援材料になるとの見方。18年予想PER16.5倍をあてはめて目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 2017年上期にはCRCの意向を受けたEMU引き渡しペースの減速(前年同期比46%減の106組)が響いたが、下期には持ち直す見込み。BOCI は2017年通期の引き渡し量が350組に上り、自社予想(330組)を上回ると予想。実際にはさらに増える可能性もあるとしている。

 株洲中車時代電気の7-9月期決算の利益は予想を明らかに下押ししたが、それでも2018年に向けた業績回復期待が強く、決算発表後も同社株価は底固く推移している。CRCは1月にも2018年通年の鉄道完工目標を発表するとみられるが、BOCIはその目標値が前年の2倍以上に当たる5,500kmに上ると予想。中国中車による18年のEMU引き渡し量が前年比15%増の380組に達すると予測し、状況次第ではさらに増える可能性を指摘した。実際、CRCは10月半ば、EMU「復興号」104組向けの信号システムの調達を開始した経緯があり、EMU自体の入札も近く始まる見込み。中国中車としても、事前に新規受注を見越し、すでにこの分の「復興号」の製造を開始しているもよう。実際にCRCから受注し次第、収益計上できる可能性が高いという。

 株洲中車時代電気の2017年7-9月期決算の下振れは主に、予想以上のコスト増大が原因。ただ、BOCIによると、中国中車の場合はコストが相対的に安定しており、利益下振れリスクが比較的小さい。また、中国中車の売り上げ規模は株洲中車時代電気の約15倍。製品構成の多様性も高く、コスト管理の点でより柔軟性が高いという。

 BOCIは新規のEMU受注見通しが明確化してきたとし、中国中車の利益見通しを増額修正した。17年通期に前年比8.2%の減益となった後、18年には同18.0%の利益成長を回復し、2019年も同10.5%の増益を達成するとの見方。EMU受注やCRCによる建設計画発表のほか、7-9月期決算の発表が同社株価の支援材料となる可能性を指摘している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、EMU「復興号」の発注が遅れる可能性、新たな鉄道完工計画が予想を下回る可能性――を挙げている。