罰金9億米ドルで米制裁問題が決着、16年に赤字転落も17年業績を楽観

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00763 中興通訊(ZTEコーポレーション)  12.94 HKD
(03/08現在)
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中興通訊はこのほど、米国の輸出管理法違反に問われた件に関して罪状を認め、罰金8億9200万米ドルを支払うことで米当局と合意した(制裁下にあったイランなどに米国製通信機器を輸出していた)。これに伴い、本来38億元の純利益を計上するはずだった同社の2016年12月本決算は、23億元の赤字となった。一方、同社業績に絡み、市場では本土通信キャリアの設備投資が縮小するとの懸念が強いが、BOCIはチャイナ・テレコム(00728)の800MHzネットワークの再配置やファイバーネットワーク需要の持続が17年決算を支えるとの見方。まずは1-3月期の好決算がその根拠になるとした。また、通信キャリア各社の設備投資に関する新たな情報がこの先、中興通訊の支援材料となる可能性を指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

同社はこのほど、米国の輸出管理法に違反したことを認めた上で、8億9200万米ドルの罰金支払いに合意。さらに付加的制裁金として3億米ドルを上乗せすることに同意した。この付加部分は合意要件の遵守を前提条件に、今後7年間にわたって保留される。これにより、米国当局は合意内容の承認と同時に、同社を輸出規制対象企業リスト「エンティティー・リスト」から除外する運びとなった。

決算速報によると、16年12月本決算には多額の罰金支払いが痛手となり、23億5000億元の純損失を計上する見込み。一方、売上高は1010億元だった。仮に罰金を除外した場合、同期純損益は38億3000万元の黒字となる。

同社はまた、17年1-3月期の決算速報を発表したが、それによると、同期売上高は前年同期比10-20%増。純利益は同21-32%増の11億5000万-12億5000万元。通信キャリア向けネットワーク設備や消費者向けビジネスの堅調が寄与したという。17年には本土キャリア各社の設備投資が10%台の幅で落ち込むとみられるが、BOCIは複数の収益牽引役が存在するとの見方。その一例として、16年7-9月期に始まったチャイナ・テレコムの800MHzネットワークの再配置業務が、17年に収益計上される予定を挙げた。また、クラウドコンピューティング利用の拡大を受けた力強いファイバーネットワーク需要を受け、チャイナ・モバイル(00941)がネットワーク拡張や2Gスペクトルの再配置を行う可能性にも触れ、こうした要因が中興通訊の17年決算を支える見通しを示した。さらに、米国で罰金支払いをめぐる今回の合意を受け、海外ビジネスや携帯端末ビジネスの正常化が期待できることにも言及している。

BOCIは本土通信キャリアの設備投資を取り巻く不透明感から、17年の利益見通しを23%下方修正。これに伴い目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行気に対して強気見通しを継続した。新たな目標株価は17年予想PERで15倍の水準。仮にキャリア各社の設備投資が予想を上回った場合、利益見通しの増額修正もあり得るとしている。