輸出入回復期待がプラス、「一帯一路」戦略も追い風に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00598 中国外運 (シノトランス)  3.54 HKD
(02/15現在)
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中国の輸出低迷懸念から、シノトランスの株価はこのところ調整圧力にさらされているが、BOCIはこの先、2017年の輸出見通しが上向くと予想。フレイトフォワーダー銘柄に対する懸念の緩和につながるとみている。また、低PERや親会社からの資産注入期待に言及した上で、同社の現在株価が魅力的な水準にあると指摘。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

中国の輸出、輸入は17年1月に市場コンセンサス予想を上回る水準に達した。税関総署によると、輸出(米ドル建て)は16年12月に前年同月比6.1%減となった後、1月には同7.9%増。輸入も12月の同3.1%増から、1月には同16.7%増へ大きく上向いた。BOCIのマクロリサーチ・チームはこれを受け、17年通年の輸出、輸入の予想伸び率をそれぞれ前年比3%(修正前2%)、6%(同4%)に小幅に上方修正した。同社のフレイトフォワーディング事業は主に中国の貿易業界向けであり、輸出入見通しの改善はプラス。また、同事業の追加料金(サーチャージ)は通常、海運運賃に基づいて設定されており、BOCIは運賃相場の回復が同事業の収入増につながるとみている。

一方、中央アジア方面に向かう同社の鉄道輸送ネットワークや3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業、海外プロジェクトにとっては、中国の対外発展戦略「一帯一路」が追い風となる。

シノトランスの親会社グループは中央企業の資産再編を通じて招商局集団の傘下に入ったが、招商局集団はシノトランスをグループ内唯一のロジスティクス・プラットフォームと位置づける方針を確認済み。これに伴い、招商局集団傘下の招商局物流集団や、買収によって集団傘下に入った前親会社・中国外運長航集団(Sinotrans & CSC Group)から、ロジスティクス関連資産を譲り受ける計画が進んでいるもようだ。BOCIは資産注入の実現により、18年にはEPSの14%の上乗せが見込めるとしながらも、現時点では取引時期が不明であるとして収益見通しに織り込んでいない。なお、招商局物流集団は未公開企業であり、15年末時点の総資産は95億元、15年通期の純利益は2億8600万元。全国規模で物流ネットワークを展開し、主要65都市の拠点を通じて700都市以上をカバー。年間の輸送量(道路輸送)は64億トンキロに上る。

BOCIはシノトランスの16年12月通期決算について、前年比8.4%の増益を予想。10-12月期の輸出の安定化が寄与するとみている。また、16年、17年の予想EPSをそれぞれ0.351元、0.368元に設定。SOTP方式に基づいて設定した目標株価(17年予想PERで12.7倍に相当)を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスク要因としては、米中貿易摩擦の激化を挙げている。