不動産引き締めも17年の売れ行きを楽観、利益率もさらに改善へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03377 遠洋集団 (シノ・オーシャングループ)  3.67 HKD
(02/13現在)
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不動産引き締めという逆風にもかかわらず、BOCIは遠洋地産の2017年の物件成約額が前年比約20%増の600億元前後に達するとみている。同社の場合、地価が下落した絶好のタイミングで開発用地を取得してきた経緯から、分譲価格設定上の柔軟性が高く、販売堅調が期待できるとの見方。中小都市(3線都市)の開発プロジェクト売却に伴う減益局面を脱し、16年12月通期には力強い利益成長を達成する見通しを示した。また、同社の利益率は明らかに回復傾向にあり、純負債比率は大幅に低下しているもよう。これが再び、不動産市況の減速という好タイミングで、低価格の用地取得を後押しするとみている。BOCIは主要都市部を中心に優良用地を保有する点を同社の強みに挙げ、17年予想PBR(株価純資産倍率)でわずか0.5倍という現在株価の低バリュエーションを指摘。同社を17年のトップピック銘柄の一つとしている。

16年12月本決算について、BOCIは前年比10%の増収を見込んでいる。粗利益率の改善や永久債償還に伴う財務費用の低減を受け、コア純利益率は1.5ポイント余り上向くと予想。コア純利益が前年比30%近く増加し、市場コンセンサス予想を上回るとみている。

17年以降については、多くの同業銘柄を上回るペースで利益率が上向くとし、その理由として好タイミングでの土地の取得や、主要都市部(1線・2線都市)に照準を合わせた同社戦略を指摘した。15年に20.6%だった粗利益率は、16年に22.5%に上向くとし、17年にはさらに24%に迫るとみている。現在分譲中のプロジェクトの粗利益率は25-30%の水準にあるという。

17年には不動産市況が減速する中、財務の健全化や利益率の改善を背景に、再び用地取得に動く可能性が高い。16年に取得した用地は延床面積換算で400平方メートルと適正範囲(販売面積は300平方メートル)にあり、取得価格は150億元。BOCIの推計では、純負債比率は15年の67.3%から、16年には50%未満に低減したとみられる。50%未満との予想値は中国海外発展(00688)、華潤置地(01109)の2社より高いとはいえ、その他同業銘柄を軒並み下回るという。

BOCIは純負債比率の低下を反映させる形で、1株当たり予想NAV(純資産価値)を1%小幅に上方修正し、11.01HKドルに設定。これに伴い、目標株価を引き上げた。同社の現在株価は17年予想PBR(株価純資産倍率)でわずか0.5倍の水準にあり、対NAVのディスカウント率は66.7%。17年の予想配当利回りは5.8%。こうしたバリュエーションは非常に魅力的であるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながりかねない潜在リスク要因としては、主要都市部の不動産市況が予想以上に悪化する可能性を挙げている。