海外事業に強みを持つ有力建設銘柄、17年に再び利益成長加速へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01800 中国交通建設 (チャイナ・コミュニケーションズ・コンストラクション)  9.09 HKD
(01/10現在)
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中国交通建設は世界的な大手ゼネコンの一つで、中国国内では港湾部門が70%、道路部門が20%、しゅんせつ部門が56%のシェアを握る。港湾機械では世界シェア80%超の圧倒的大手。海外建設市場におけるシェアでも、国内同業を上回る水準にある。また、海外事業および投資プロジェクト(BOT=建設・運営・移管、PPP=官民連携プロジェクト)の利益構成比は計55%超。同社はすでに「投資マネジメント会社」への転身のさなかにあり、国内競合各社に先行してシフトを完了する可能性が高い。BOCIは株価の先行きに対して強気見通しを示すとともに、同社の新規カバレッジを開始している。

同社は大手インフラ建設銘柄の1社だが、鉄道建設や住宅建設を主力とする競合他社とは異なり、交通分野を中心に事業の多様性が高い。港湾、港湾機械、道路、橋梁、鉄道などの各事業部門がいずれも世界大手クラス。国内のインフラ建設市場の拡大だけでなく、中国政府が進める対外発展戦略「一帯一路」が追い風となる。

海外事業の比重の高さも同社の特徴の一つであり、16年上期には売上高の21.6%、利益の30%を海外が占めた。この割合は同業他社(10%未満)を大きく上回る。また、道路建設事業に強みを持つため、BOTプロジェクトにおいて存在感が大きく、これが同社の投資マネジメント型モデルへの事業形態のシフトを後押ししているという。現時点でBT、BOT、PPPを含む投資プロジェクトが粗利益に占める割合は25%と、同業他社を大きく上回る数字となっている。

一方、BOCIは同社の現在株価について、同業銘柄と比べた出遅れ感を指摘している。15年の優先株発行、14年の永久債発行によるEPS希薄化が出遅れの原因。16年上期、同1-9月期にはそれぞれ前年同期比6.5%、12.1%の増益を達成したものの、こうした要因を調整した後の数字はそれぞれ4.1%減益、5.9%増益だった。ただ、17年には優先株発行による前年比数値への影響が消え、同業他社に匹敵するレベルの収益成長を達成する見込み。BOCIは16年、17年に前年比7.4%、7.8%の増益を予想。優先株および永久債向け配当を除外した後のEPS伸び率は、同2.9%、8.3%になるとみている。

BOCIによると、現在株価は17年予想PER7.6倍の水準にあり、これは競合の中国鉄建(01186)以下。17年予想PBR(株価純資産倍率)も0.7倍と、同業平均の0.9倍を下回る。ただ、17年以降の利益成長見通しが競合他社とほぼ同じであることから、BOCIは株価のPERも競合銘柄と同水準に匹敵するとの見方。17年予想PER9.18倍をあてはめた上で目標株価を設定し、株価の先行きに対して強気見通しを示した。なお、世界同業銘柄の17年平均PERは8-14倍、本土A株での同平均は11.3倍の水準にあるという。BOCIはまた、17年の利益成長率の回復や17年上期に見込まれる新規受注の堅調が同社株価の支援材料になるとみている。