ロシア油田の権益20%取得、資産価値や利益見通しを上方修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00392 北京控股 (ベイジン・エンタープライズ)  37.00 HKD
(01/04現在)
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北京控股はロシアの油田経営会社Verkhnechonskneftegaz(VCNG)の権益20%を取得する計画について投資家の質問に答えるため、カンファレンスコールを開催。その中で、◇VCNGの通期純利益が6億-7億米ドルに上る見通しであり、フリーキャッシュフローの100%を配当に回す方針であること、◇年間最大10Bcm(Bcm =10億立方メートル)相当の天然ガスを低価格で調達できること――などの利点を強調した。BOCIはこの投資が北京控股の2017-18年の予想純利益を6-9%押し上げるとともに、1株当たり純資産価値(NAV)の3.18HKドルの上乗せにつながると予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

VCNGは、東シベリアで最大規模の油田を保有。商業生産可能な可採埋蔵量は、原油が1億6500万トン、天然ガスが115Bcm。北京控股の権益取得価格は1バレル当たり換算で3.2米ドル相当となる。同油田はすでに原油生産を行っているが、天然ガスはまだ初歩的な開発計画を策定した段階で、20年に最終投資決定(FID)を実施、21年に商業生産を開始する運び。その後2-3年間で、年間3Bcmのフル稼働に入る見通し。

原油の商業生産は10年に始まり、現在の年産量は850万トンに上る。北京控股によれば、VCNGのフリーキャッシュフローは10年にプラス化。16年上期には原油安にもかかわらず、純利益およそ3億5000万米ドルを計上した。原油相場を1バレル=55米ドル、ロシア・ルーブルの為替相場を1米ドル=68ルーブルと想定した場合、VCNGの17年純利益は6億-7億米ドルに上るという。また、キャッシュフローは2017-42年に予定される総設備投資18億米ドルを十分まかなえる規模。VCNG経営陣はフリーキャッシュフローを全額配当とすることに同意しており、北京控股側の配当利回りは約15%、IRR(内部収益率)は14%となる。

今回の投資の狙いの一つは、北京で展開する都市ガス事業向けの天然ガスの確保。同油田はロシア-中国の天然ガスパイプライン「シベリアの力」(20年竣工)の出口からわずか167kmの距離にある。北京控股は現在、VCNGの親会社ロスネフチやロシア当局とガス購入契約を協議中。ロシア側の政治リスクがくすぶるとは言え、19年にも合意する可能性が高く、その調達価格は中央アジアからの輸入価格を下回る見通しという。

一方、北京控股はカンファレンスコールで既存の都市ガス事業に関しても情報を共有したが、ほぼBOCIの予想通り。北京での16年のガス販売量は前年を10%強上回る14-15Bcm、陝西省-北京パイプラインのガス輸送量は同3-5%増の約34.5Bcmだった。

BOCIは1株当たりNAVの上乗せなどを考慮し、北京控股の目標株価を引き上げた。また、VCNG の貢献を織り込む形で、17年、18年の利益見通しをそれぞれ6.1%、8.8%増額修正。同社を本土都市ガス・セクターのトップピック銘柄としている。