「川気東送」の権益50%を譲渡、16年通期に売却益157億元計上へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00386 中国石油化工 (シノペック)  5.57 HKD
(12/13現在)
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シノペックはこのほど、傘下の大型天然ガス・パイプライン「川気東送」(四川省-中国東部)の権益50%を売却すると発表したが、BOCIはこの取引による一回性利益が157億元に達するとみて、同社の2016年の予想純利益を39%増額修正した。また、中国当局によるガソリン・軽油の品質基準の引き上げや、地方の石油精製所による消費税脱税行為に対する摘発強化に言及し、こうした政策方針が同社に最大の恩恵をもたらすと指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

同社は中国人寿保険(02628)と国投交通控股有限公司(SDIC Communications)を「川気東送」の新たな出資者として受け入れ、現金総額228億元で権益計50%を譲渡することで合意した。取引完了後には、シノペック、中国人寿保険、国投交通控股の持ち株比率がそれぞれ50%、43.86%、6.14%となる。

「川気東送」は主に四川省の普光ガス田から東部への天然ガス輸送を担うパイプラインであり、年間輸送力は120億立方メートル。総延長は2229kmで、四川省から重慶市、湖北省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省を経て上海市に至る。シノペックによる涪陵(Fuling)シェールガス・プロジェクトが進む中、「川気東送」の輸送力を増強する必要性が高まっていた。

「川気東送」の16年上期の売上高は26億1200万元、純利益は11億6900万元(中国会計基準)。6月末時点で、同パイプラインの純資産は18億3500万元だった。

BOCIは利益見通しの増額修正に伴い、同社H株の目標株価を引き上げた。目標株価の算出基準については16年予想PBR(株価純資産倍率)1倍を維持している。一方、A株の目標株価も引き上げたが、これはAH価格差の3カ月平均値に基づく判断。H株に対するA株株価のプレミアム率はBOCIが前回リポートを発表した10月から2-3%の幅で拡大した。

一方、レーティング見直しにつながる可能性のあるシノペックの潜在リスク要因として、BOCIは急速な原油安とそれに伴う石油製品価格の下落や、石油製品および石油化学製品の需要萎縮を指摘している。