中国の資本流出規制で大幅安、マイナス影響は「限定的」

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01299 友邦保険控股 (AIAグループ)  45.25 HKD
(12/07現在)
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AIAグループの株価はここ2-3カ月、ピーク時から15%余り下落した。中国の資本流出規制を受け、香港を訪れる本土市民向けの保険商品販売が減速するとの警戒感が背景。ただ、BOCIは最悪の場合でも、同社に及ぼす影響は新契約価値(VONB)の10%未満にとどまると予想し、同社株の最近の下落については売られすぎ感を指摘している。また、現在株価は2016年度、17年度の予想P/EV倍率(株価EV倍率:株価をEVで割った値)で1.7倍、1.6倍に相当するとし、長期投資家のエントリーレベルとしては魅力的な水準にあるとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

中国政府は自国民が香港を訪れて保険商品を購入するケースに関し、銀聯カード(中国最大のクレジットカード/キャッシュカード)やその他クレジットカードの利用に関する規制を強化。投資家はこれが、AIAグループやその他香港系保険会社に及ぼすマイナスの影響を懸念している。ただ、BOCIはAIAグループに対する影響は限られるとの見方。同社香港事業の約90%を定期払生命保険が占めることや、この種の保険の更新時にも銀聯カードやその他クレジットカードが用いられることはまずないことを理由としている。

一方、AIAグループの新契約価値は17年に、タイとシンガポールで2桁成長を達成する可能性が高い。代理店の生産性向上や利益率の改善などが背景。11月の米大統領選以来、米ドル高とアジア通貨安が鮮明となっており、この点は米ドル建ての同社決算にマイナス影響を及ぼす見込み。ただ、その半面、金利上昇局面は同社に全般的に有利となる見通しという。

BOCIは安定的な収益成長見通しやフランチャイズの質、代理店の生産性の高さ、ALM(資産負債の総合管理)の良好さなどを指摘した上で、同社を域内保険セクターの優良銘柄として高く評価している。これまでの急落を受け、同社株価の17年度予想P/EV倍率は1.6倍と、ヒストリカル平均値並みに下げたとし、長期投資向けには買いの好機に当たるとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、同社利益が資本市場や金利の変動に大きく左右される点を指摘している。