最新の秋冬コレクションに高評価、南部市場での巻き返しでサプライズ期待も

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02331 李寧 (リネイ)  5.61 HKD
(11/24現在)
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BOCIはこのほど、広東省広州市にある李寧の店舗を訪れてリサーチを行い、最新の秋冬コレクションに対して好印象を持ったと報告している。洗練されたデザインや合理的な価格設定が消費者の目には魅力的に映ると指摘し、さらに低価格かつ機能性の高い製品を通じて若年層をターゲットとする同社戦略が功を奏していると評価。また、ネット通販による貢献や新製品の投入が今後の売上高や利益率の回復につながる見通しを示した。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

BOCIが今回訪れたのは1996年に開業した天河百貨店内にある李寧の店舗。天河百貨店は小売売上高で広州市のトップ3に入る大手百貨店であり、李寧は5階の「スポーツシティ」に店舗を置く。同じフロアに26のスポーツウエアブランドが入居しているが、BOCIの調査によれば、李寧店の年間売上高はうちトップ10の一つに入るという。また、同店舗の生産効率は李寧にとっても相対的に高く、1平米当たりの売上指標はグループ平均の1万6000元を上回るとみられる。

80平米の同店舗を観察した結果、BOCIは20代前半の多くの若者を引き付けていたと報告。さらに1年前の秋冬物に比べ、今シーズン向けコレクションのファッション性は高いとし、特にシューズとジャケットでこの傾向が顕著だとしている。また、製品別では、中でもランニングシューズとスポーツブラの売れ行きが好調。ランニングシューズの今季ラインの場合、値下げ後の価格は国際有力ブランドの同種製品を約50%下回る水準。例えば、ランニングシューズは1足300-450元程度、コットンジャケットは1着300-400元と、それぞれ国際ブランドの700元超よりかなり低価格だった。

広州市を含む中国南部市場はこれまで一貫して、李寧の苦手エリアだった。物流面の不備やオフシーズンの値引き率の高さなどが理由。ただ、BOCIは同社経営陣が南部事業の改善に本腰を入れていると指摘し、実際に明るい兆しが見え始めたと報告している。同社全体の既存店売り上げ伸び率(SSSG)は16年7-9月期に平均1桁台後半だったが、広州市の直営店のSSSGはこれを上回った可能性が高いという。BOCIは同社が今後、◇店舗再構築(ショッピングモールや百貨店での店舗増設など)、◇小売店経営に関する代理店支援、◇タイムリーな在庫補充システムの構築――に対し、より多くの資源を振り向けるとの見方。南部での経営改善を受け、この先、予想以上の利益上乗せというサプライズもあり得るとしている。

BOCIはDCF方式に基づいて目標株価を据え置き(加重平均資本コスト=WACCは8.8%、残存価値増加率は2.0%を想定)、株価の先行きに対して強気見通しを維持した。レーティングの見直しにつながる可能性のある同社の潜在リスクとしては、在庫処理状況やコスト管理の成果などが予想以下にとどまる可能性を挙げている。