新旧両ブランドの好調を予想、17年のトップピックに選定

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車 (ジーリー・オートモービル)  7.86 HKD
(11/23現在)
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BOCIは年初から突出した株価パフォーマンスを見せた吉利汽車を、引き続き2017年の香港上場OEM銘柄のトップピックとしている。既存の「吉利」ブランドの力強い利益成長見通しに加え、ボルボのプラットフォームを利用した新ブランド「Lynk&Co」が競合他社を超える同社の販売成長を確実に後押しするとみられるため。BOCIは異なるセグメントをターゲットとする両ブランドを持つ同社をより正当に評価するため、目標株価の算出方法を従来のPERベースから、SOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)方式に変更。目標株価を大きく引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

「Lynk&Co」は同社にとって、ただの“ブランド”にはとどまらない意味を持つ。グローバルブランドに寡占されている新市場への進出に道を開き、欧米などの成熟市場に足を踏み込む上でカギとなる存在。さらに独自の製品開発や事業モデル構築という点で、同社ビジネスそのものを進化させる存在になるという。

BOCIによると、ボルボの技術およびブランドの利用を通じ、「Lynk&Co」はまず、中国国内の乗用車市場で50%超を占めるマスマーケット部門で存在感を発揮する見込み。現在のところ、エントリーレベルのマスマーケットブランドの販売台数は年間350万-400万台。10%のシェアを獲得すれば、「Lynk&Co」の国内販売台数は35万-40万台に上る。海外市場の開拓を計画している18年以降は、これにさらに成熟市場での販売分が上乗せされることになる。

「Lynk&Co」を生産するのは、ボルボ「40」シリーズと同じCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)プラットフォーム。まずは9つのモデルが投入される。第1号の「CX11」は17年下期に発売される予定。

一方、既存の「吉利」ブランドについても、BOCIは好調を予想。16-17年の予想販売台数をそれぞれ76万台(修正前70万台)、101万5000台(同95万台)に上方修正した。販売増と製品ミックスの改善を見通し、両年の予想純利益を16%増額修正した。

同社の潜在リスク要因として、BOCIは、◇17年初めに中国の新車販売が大きく減速する見通し(小型車減税が16年末で終了)、◇「Lynk&Co」の売れ行きが期待外れとなる可能性、◇ストックオプション行使に絡む懸念――などから、同社株価が調整する可能性があることを指摘している。

BOCIは今回、目標株価の算出にSOTP方式を採用。うち「吉利」ブランドに関しては、引き続きPER方式を採用。17年予想PER10倍をあてはめる形で目標水準を設定した。これは香港上場の自動車銘柄の平均である予想PER8倍を上回る。また、「Lynk&Co」に関してはDCF方式の下で適正水準を設定し、2つのパーツを足し合わせる形で目標株価を決定。同社株価の先行きに対し、引き続き強気見通しを維持している。