16年7-9月期決算は堅調、通期利益見通しを上方修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00338 中国石化上海石油化工 (シノペック・シャンハイ・ペトロケミカル)  3.99 HKD
(10/28現在)
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シノペック上海石化の2016年7-9月期決算は前期比で47%の減益となったが、BOCIは異例の高水準にあった石油精製事業の利益率の正常化や、杭州G20サミットの開催に伴う一時操業停止を考慮すれば、力強い決算内容だったと前向きに評価している。10-12月期についても7-9月期並みの堅調を見込み、16年通期の利益見通しを6%増額修正。続く17年に関しては減益を予想しながらも、高ROEと低バリュエーションを指摘し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

7-9月期の純利益は中国会計基準で前年同期比倍増の10億3300万元と、同社が事前に発表した予想レンジ(8億3300万-11億7000万元)のやや高め寄りの水準となった。これで、1-9月期の純利益は同84%増の41億3000万元に達した。

7-9月期は前期比で47%の減益となったが、その一因は石油精製事業の利益率が4-6月期に極めて高水準にあったこと。4-5月の原油相場の上昇局面で、国家発展改革委員会が好タイミングで石油製品価格(ガソリン、軽油)の引き上げに動いたことが、利益率を異例の高水準に押し上げた要因。親会社のシノペック(00386)では、石油精製事業の単位当たり利益が、4-6月期に過去最高の1バレル=11.69米ドルを記録した。また、9月上旬の杭州G20サミットの開催に合わせて一時操業を停止し、メンテナンスを実施したことも 前期比での減益要因となった。

続く10-12月期の純利益について、BOCIは控えめな想定値に基づき、前期比横ばいを予想。17年については減益決算を見込みながらも、18%の高ROEやH株株価の低バリュエーションを強気見通しの理由としている。同社H株は現在、17年予想PBR(株価純資産倍率)1.4倍、17年予想PER8.2倍の水準で取引されている。

一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因は、◇原油相場の急落に伴い、短期的に精製事業の利益率が悪化する可能性、◇石油化学製品に対する需要が萎縮する可能性――など。

BOCIは同社H株の目標株価に適用する16年予想PBRを1.7倍から1.8倍に引き上げ、目標株価を上方修正した。この1.8倍とは、同社株価が15年6月以降に付けた最も高い予想PBRと同水準。その上で、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。