海外事業の利ざや回復に期待、リスク性資産への対応も評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03988 中国銀行 (バンク・オブ・チャイナ)  3.56 HKD
(09/13現在)
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BOCIは中国銀行について、2016−18年予想利益をそれぞれ9.43%、18%、13.64%ずつ引き上げた。理由は以下の3点:1)米金利引き上げに伴う純金利マージン(NIM)の回復見通し、2)資産内容の健全化に向けた迅速なリスク対応、3)競合よりも低水準のバリュエーションと比較的大きいAH株価差。信用コストの低下見通しも踏まえた上で、同行の目標価格を引き上げ、株価の先行きを強気の見方に据え置いている。

中国銀行は16年6月中間期にリスク性資産をより安全性の高い資産へシフトしたことが明らかとなった。BOCIが上場銀行の16年上期の資産内容(資金運用勘定)の増減を比較したところ、中国銀行は増加分の9割が低リスク資産(人民銀行預け金、コールローン、国債、モーゲージローン)であり、リスク回避対応がトップ水準と判断された。

中国銀行は中期的に利益と資産の30%を海外事業で賄うことを目指している。16年6月期の中国以外の事業の資産の割合は28.4%、利益は43.2%。海外利益は南洋商業銀行の売却益により今期一時的に上昇したもので、前年度は25%程度。同行は今後も海外事業の拡大に注力する方針で、海外の新拠点設立による資産増加も見込まれる。

世界的な超低金利環境下、海外事業および国内の外国為替事業のNIMが圧迫される傾向にあり、海外事業に強い同行は他行よりもNIMが低水準にある。だた、FRBが利上げの方針を示しており、これに伴って同行のNIMも徐々に回復するとみられる。BOCIの試算では、海外の人民元資産のNIMが0.05ポイント上昇すれば、純利益は8億9600万元増加し、16年予想利益は0.5%アップにつながる。

また、米ドル高による為替差益での利益成長も見込まれる。15年の米ドルおよび香港ドル建ての資産は全体の20%、同利益は同16%を占めた。16年の同利益が前年と同水準で5%の人民元安になった状況を仮定すると、同利益は5%増となり、全体では0.8%の増益となる。BOCIは人民元安の影響のみで同行の純利益が18年までに2%増加するとみている。

BOCIは16年第3四半期について、資産内容悪化に備え16年第2四半期に引当金を積み増した点や、手数料収入の回復の兆しを考慮し、まずまずの業績を期待。16年下期の利益は銀行セクター平均がマイナス成長になるのに対し、中国銀行はプラス成長を示すと予想している。

同行の株価は現在PBR0.71倍と、セクター平均の0.76倍、大手4行平均の0.75倍よりも低水準で取引されている。同行の低リスク性を考慮し、BOCIは目標株価を引き上げ、株価見通しを強気の見方に据え置いた。リスク要因として、マイナス金利の長期化で海外事業のNIMが回復しないこと、資産内容の予想以上の悪化を挙げている。