第三者向けの輸送サービスを本格化、鉄道部門に成長期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01088 中国神華能源 (チャイナ・シェンフア・エナジー)  14.82 HKD
(08/01現在)
 株価
 企業情報
 チャート

BOCIは7月下旬、中国神華能源のIR活動に伴って朔黄鉄道や黄驊港を訪問し、同社が新たに本腰を入れている輸送サービス事業の「5カ年発展計画」を共有した。現時点では請負契約が協議段階にあるため、BOCIは同社の利益モデルに織り込んでいないものの、16年には第三者向け輸送事業が力強い成長を遂げると予想。石炭価格の下落や発電部門の設備稼働率の低下といったマイナス影響をある程度相殺するとみて、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

石炭輸送需要が落ち込む中、同社は自前の鉄道の予備輸送力を活用するため、第三者向けの輸送サービスを本格化させる方針。16年には第三者向けに石炭1000万トン、それ以外の各種製品1000万トンの輸送を手掛ける予定で、17年、20年にはこれを5000万トン(うち石炭3000万トン)、1億トンに引き上げる計画。BOCIによれば、この計画が実現した場合、17年時点で鉄道売上高の10%の上乗せが見込めるという。

実際には、第三者向けサービスは始まったばかりの段階にあり、同社は潜在顧客らと輸送契約を協議中。契約が固まっていないため、BOCIは今のところ16-18年の利益見通しを据え置いているものの、同社が策定した輸送事業の発展戦略を前向きに受け止めている。うち第三者向けの石炭輸送は内陸部の産地から東部の港湾施設に向かうルートとなるが、同社は復路において石炭以外(鉄鉱石など)の輸送を請け負い、効率アップを目指す方針を明らかにしている。

石炭輸送の大動脈である大秦鉄道は16年2月、1トンキロ当たり運賃を0.01元値下げした。ただ、中国神華能源の朔黄鉄道は相対的な運賃の安さや輸送距離の短さなどの点で競争力が高く、短期的に値下げを行う計画はないという。同社が保有する鉄道は15年末に9本で(ほかに2本を建設中)、総延長は2155km。前年同期実績の低さや第三者向けサービスのスタートが寄与し、鉄道輸送部門の売上高は16年上期に前年同期比22%の伸びを示した。

一方、港湾資産に目を向けると、同社が運営している施設は主に、黄驊港(河北省)、天津港、珠海港(広東省)の3カ所に位置し、総処理能力は2億6600万トン。うち黄驊港が1億7800万トンと最も大きい。同港における16年上期の処理量は前年同期比49%増。経営陣は16年通期で1億7000万-1億8000万トンを目指す。ただ、16年の目標値はすでに処理能力の限界に近く、今後は伸び率が減速する可能性が高い。

BOCIは同社の潜在リスク要因として、発電部門の設備稼働時間数が予想以上に落ち込む可能性、鉄道部門の売上高が予想を下回る可能性――を指摘しながらも、同社H株の先行きに対して強気。16年予想PBR(株価純資産倍率)1.0倍をあてはめ、目標株価を据え置いている。