新契約価値の伸びで16年度上期に利益上振れ見通し、今後も成長持続に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01299 友邦保険控股 (AIAグループ)  48.05 HKD
(07/19現在)
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AIAグループは16年5月中間決算(16年度上期)を7月28日に発表する予定だが、BOCIは同期利益について、市場コンセンサス予想をやや上回る水準を見込んでいる。主に中国本土/香港での新契約価値(VONB:当該年度に獲得した新契約から得られる将来利益の現在価値)の旺盛な伸びが利益上振れを見込む理由。BOCIは同社を優良銘柄と評価し、さらに低金利環境下での相対的に高いディフェンシブ性を指摘。目標株価を引き上げた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

16年度上期の新契約価値について、BOCIは実質為替レート(AER)、恒常為替レート(CER)ベースでそれぞれ前年同期比30.6%、35.1%の増加を見込む。本土、香港を含む高利益率市場での新契約の力強い伸びが背景。また、新契約マージンに関しては、前年同期の50.3%から56.3%に上向くとみている。一方、資産運用面では厳しい環境にあったとの認識であり、16年度上期の税引き後営業利益(OPAT)および純利益についてはそれぞれ前年同期比4.7%減、27.8%減を予想している。

地域別に見ると、中国本土、香港、マレーシアでは16年度上期に新契約年換算保険料(ANP)が2桁増となる見込み。うち中国本土では外交員活動の活発化や生産性の向上、保障型商品の利益率改善を背景に、16年に収入保険料の伸びが加速する見通しという。一方、本土市場での好調に加え、香港市場でも本土顧客向けの保険商品販売が引き続き力強い伸びを示している。また、マレーシアでは保障付帯型の定期払込保険商品の新契約価値の伸びが鮮明という。

対照的にタイ、シンガポールでの成長ペースは鈍く、同社は両市場において高利益率の定期払込保険商品に照準を合わせている。このほか、韓国事業について、BOCIは短期的に厳しい状況が続くとの見方であり、同国では採算性を重視した戦略を採るとみている。

一方、マーケットでは、ここ数年急成長を遂げてきた同社がこの先、どのように力強い成長を維持していくかが焦点の一つとなっているが、BOCIは同社事業の地理的多様性やクオリティー重視の経営戦略を指摘。こうした点が持続可能な成長のカギとなるとの認識を示した。ほかに、同社が低金利環境の下でいかに資産運用上の配分を調整するか、どうような運用戦略を採るかも焦点の一つ。BOCIはまた、潜在的なリスク要因として、同社利益が株式相場や金利動向に左右されやすい点に言及している。

BOCIは株価EV倍率(P/EV倍率:株価をEV=エンベディッドバリューで割った値)2.31倍をあてはめた上で、目標株価を引き上げ(ROEV=リターン・オン・エンベディッド・バリュー12.0%などを想定)、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。