16年6月中間期に大幅減益見通しも製品価格底入れ、下期の業績改善に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01313 華潤水泥控股有限公司(チャイナリソーシズ・セメント)  2.44 HKD
(07/11現在)
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華潤水泥控股は2016年6月中間決算について業績悪化見通しを発表した。未監査連結決算の予備評価によると、主にセメント販売価格の下落が響き、同期純利益は前年同期実績を大きく下回る見通しという。BOCIはこれを予想通りとした上で、中間期の平均販売価格(ASP)が前年同期比約19%下落したと推定し(1-3月期に同26%下落、4-6月期に同12%下落)、およそ90%の大幅減益を見込んでいる。うち4-6月期の予想純利益は前年同期比83%減の1億5000万HKドル(前期比では21.6倍の増益)。一方、セメント価格は3月から回復傾向にあり、この先7-9月期、10-12月期には1トン当たり粗利益が前期比、前年同期比で上向く見込み。BOCIは下期純利益が13億-14億HKドルに達するとみて(前年同期実績は5億1500万HKドルの純損失)、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

平均販売価格が16カ月にわたる下落局面に終止符を打ったことで、同社の1トン当たり粗利益も4月に底打ちした。BOCIは6月の同粗利益が前年同月比4.7%増の約60HKドルに達したとみて、20カ月連続の下落局面を脱したとみている。粗利益の改善を支えたのは、需要の回復や業界の協調減産などを背景とした中国南部市場でのセメント相場の回復。BOCIは17年末まで市況改善が続くとの見方だ。1トン当たり平均販売価格については、16年1-3月の229HKドル、4-6月の243HKドルから、7-9月、10-12月期には254HKドル、274HKドルに上向くと予想。1トン当たり粗利益も1-3月の43HKドル、4-6月の54HKドルから、65HKドル、84HKドルへ、さらに拡大するとみている。

南部のセメント需要は、道路や高速鉄道、都市鉄道網を含むインフラ建設の加速を受け、16年上期に前年同期比5-6%増加した。BOCIは16年通年で前年比4%の需要増を予測。需要の伸びがクリンカー生産能力の実質増加率(同2.7%)を上回るとみている。

一方、同社が人民元建て債務の割合を16年6月末に50%まで引き上げたことで(15年末は38%)、為替リスクは縮小。6月中間期の為替差損は2億HKドルを下回る見通しとなった(15年下期は9億1200万HKドル)。経営陣は16年末までに、人民元建て債務の割合を60%まで引き上げる方針を明らかにしている。

BOCIはレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、天候の変化によるセメント需要への影響を挙げている。中国気象局の予想通り、16年にラニーニャ現象が発生すれば、多雨や台風がセメント需要や輸送に影響する可能性があるという。

同社の現在株価は16年予想PERで8.8倍、同PBR(株価純資産倍率)で0.57倍の水準。BOCIは16年予想PBR0.7倍などをあてはめ、目標株価を据え置いている。