16年6月中間期に大幅増益のポジティブサプライズ、通期利益予想を上方修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00338 中国石化上海石油化工(シノペック上海石化)  3.52 HKD
(07/07現在)
 株価
 企業情報
 チャート

シノペック上海石化は2016年6月中間期の純利益が前年同期比70-90%増の29億4300万-32億8900万元に達する見通しを発表し、市場のポジティブサプライズとなった(中国会計基準)。同社が示した中間期の予想純利益は、BOCIが設定した16年通期利益見通しの72-80%に相当する数字。BOCIはこれを受け、16-18年の予想純利益を11-17%増額修正。同社H株、A株の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。

経営陣が発表した中間期の利益見通しに基づくと、4-6月期の純利益は17億9800万-21億4400万元に上る計算。これは前期比で57-87%の増益を意味する。原油高を受けた石油精製事業の利益率の回復に加え、石油化学製品の利益率改善、さらに生産効率の改善などが、前期比の力強い利益成長に寄与する見通しとなった。

一方、16年下期の純利益について、BOCIは上期実績を下回るとみている。下期の原油相場が1バレル当たり50米ドル前後の水準で推移する見通しや、G20会議に合わせたメンテンナス(8月後半-9月前半)の実施で、同社生産施設が2-3週にわたって生産を停止する予定であることなどが理由。こうした点を考慮し、16年通期純利益の上方修正幅を16%に抑えた。ただ、6月中間期の予想純利益は、BOCIの新たな通期予想に対しても62-69%に相当する数字。実際の通期純利益は予想をさらに上振れる可能性が高いという。

中間期の大幅増益を受け、16年通期の同社利益は市場関係者らの現在予想を全面的に上回る見込み。過去3カ月間の調整を経て、同社株価は新たな上昇局面を迎えたとみられる。特にH株株価の16年予想PERは現在7倍程度に過ぎず、配当利回りは4%を超える水準にある。

BOCIはレーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因として、原油相場や石油製品価格の急落、石油化学製品の予想外の利益率悪化――などの可能性を挙げた。

BOCIは16年予想PBR(株価純資産倍率)1.7倍をあてはめる形で、H株の目標株価を引き上げた。1.7倍との目標バリュエーションはこれまでの1.45倍を上回り、ここ数年では最も高い水準となる(上海・香港間の株式総合取引が始まったばかりの過熱期を除く)。また、BOCIはA株に関しても、3カ月平均AH価格差に基づいて目標株価の引き上げを行った。同社A株株価がH株をどの程度上回るかを示すAH価格差は現在106%と、4月末の115%から縮小傾向を示している。