小型航空機「Y12」合弁計画とAvicP買収に注目、16年の収益見通し増額修正

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02357 中国航空科技工業(アビチャイナ)  5.20 HKD
(06/16現在)
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アビチャイナが株式34.7%を保有する子会社の哈爾濱哈飛航空工業(哈飛航空)が、中航通用飛機(CAIGA)、黒龍江大正投資集団との合弁事業計画を発表した。新たに設立する合弁会社を通じ、旅客・貨物輸送用の中国製ターボプロップ輸送機「Y12」の製造販売を手掛け、マーケティングを強化する。一方、アビチャイナが親会社の中国航空工業集団公司(AVICグループ)から中国航空規劃設計研究総院(AvicP)を全面買収する計画は、すでに株主承認を得た。BOCIはAvicP買収を織り込み、アビチャイナの16年の予想純利益、予想EPSをそれぞれ32.2%、20.5%増額修正。全体相場の下落を反映させる形で目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

哈飛航空など3社が新たに立ち上げる合弁会社は哈爾濱通用飛機工業(HGA)。「Y12」向けの設備投資やマーケティング活動の一本化が合弁事業の狙いという。持ち株構成は哈飛航空が40%、CAIGAが40%、大正投資が20%で、哈飛航空が2億元、他2社が計3億元を出資する。合弁パートナーの1社であるCAIGAはアビチャイナと同じAVICグループ傘下の一般航空機製造部門。アビチャイナは今後、この分野の事業を拡大し、一般航空機ACシリーズの開発に当たる計画という。

「Y12」の年間販売数は、今のところ5-10機。「Y12」をベースとしたニューモデルがすでに耐空証明を取得済みであり、向こう2年以内に量産化に漕ぎつける予定となっている。今回の合弁で、哈飛航空の「Y12」事業の持ち株比率は100%から40%に低下するが、BOCIは「Y12」の生産台数の少なさから、直接的な影響は限られるとの見方。むしろマーケティングなどの面から長期的にはプラスになるとみている。

一方、親会社からのAvicP買収については、すでに株主承認を取得済み。16年12月通期決算には買収効果が反映される見通しとなった。BOCIはこれまで、アビチャイナの自律成長のみを想定し、16年に前年比8.5%の増益を予想していたが、今回のAvicP買収を受けて収益見通しを大きく上方修正した(「Y12」合弁計画は今のところ収益モデルに反映させていない)。16年、17年、18年の予想売上高をそれぞれ34.3%、35.5%、35.5%増額するとともに、予想純利益を32.2%、32.6%、32.6%上方修正。16-20年に年平均2桁の利益成長を予想している。AvicP買収後も、純利益率はほとんど変わらないとしながらも、ROEについては上向く可能性を指摘している。