新規事業に積極投資、広東省の道路建設や黄山市の水道事業に参画へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00270 粤海投資(広東インベストメント)  11.40 HKD
(06/10現在)
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粤海投資はこのほど、広東省で道路インフラ建設のPPP(官民連携)プロジェクトに調印したと発表した。総投資額は47億5400万元で、年内に着工する予定。BOCIは同プロジェクトのメンテナンス業務が向こう10年にわたり(2019年の開始予定)、同社純利益をおよそ10%押し上げるとみている。同社はまた、これより前に、新たな水供給プロジェクトに合意済み。BOCIはキャッシュポジションを強みとした同社の積極的なビジネス機会の獲得を前向きに評価。香港ドルベースのFCF(純現金収支)やバランスシートの健全性、EPSおよびDPS(1株当たり配当)の増加見通しなどに振れ、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

同社がこのほど調印したPPP契約は広東省東莞の「銀瓶創新区」(Yinpingイノベーティブゾーン)における道路8本の建設計画で、道路敷設のほかに排水システムや沿道の緑化、照明設置などを含む。親会社の粤海控股集団(GDH)や東莞市政府も開発・運営に参加。地元政府が建設費および10年にわたるメンテンナンス期間中に発生する運営費、保守費を負担する。BOCIの試算では、同プロジェクトのIRR(内部収益率)は6.4%。10年間のメンテナンス期間中における粤海投資の純利益上乗せ効果は約10%に達する見通しという。また、BOCIは15年末時点で90億HKドルに上る同社の手元現金に言及する半面、配当性向の引き上げはあくまで段階的に行われると予想。多額の手元現金を生かした積極的な事業拡大により、純資産価値の上昇が期待できるとしている。

一方、同社は先ごろ全額出資子会社を通じ、安徽省黄山市政府と水供給プロジェクトに関する枠組み協定を締結した。市政府と組んで合弁会社を設立した上で、水道プロジェクトを一本化し、環境修復プロジェクトを運営し、市内非中心部の水供給システムを整備する計画。今のところ計画の詳細は明らかにされていないが、BOCIは今回の合意がほかのM&AやPPPプロジェクトの獲得につながる可能性を指摘している。また、親会社からの請負業務に過度に依存せず、自ら新たな水道プロジェクトを開拓しようとする同社の姿勢の表れとして、黄山市との新たな契約を前向きに評価している。

BOCIによると、同社の潜在リスク要因は香港向けの水道水販売事業の売上高が18年以降予想を下回る可能性、企業価値の点でマイナスとなる買収を行う可能性など。 同社のDPSは香港ドルベースの力強いキャッシュフローを背景に上向きに推移しており、事業内容もディフェンシブ。BOCIはこうした点から、同社株のベータ値の低さ(全体市場との連動性の低さ)を指摘。銀瓶での道路プロジェクトとリスクファクターを反映させる形で目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。現在株価の16年予想PERは約16倍。16年の予想EPS伸び率は12%で、予想配当利回りは3.4%、予想FCFイールド(純現金収支の株価時価総額比)は6%となる。