16年3月通期は2%の営業増益、マーケティング費の落ち着きで利益率改善へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00973 L'Occitane International S.A.(ロクシタン・インターナショナル)  13.16 HKD
(06/07現在)
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ロクシタンの2016年3月本決算は、営業利益が前年比2.4%増の1億6800万ユーロとなり、市場コンセンサス予想、BOCIの予想からそれぞれ4%、7%上振れた。予想以上の粗利益率や同社に有利な為替相場の変動が背景。経営陣によれば、日本市場での既存店売り上げ伸び率(SSSG)は16年1-3月期に1桁台半ばの水準を回復し、中国では引き続きネット通販が好調だった。BOCIは新製品の投入効果やマーケティング費が16年にピークを過ぎたことから、向こう12カ月の利益率を楽観。目標株価を引き上げた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

16年3月通期の純利益は前年比9.8%減の1億1000万ユーロ(EPSは0.075ユーロ)。マーケティングおよび販売費の増大が響いた。デジタル化戦略と新規ブランド向けのマーケティング費用は同23.4%増加し、対売り上げ比率は12.5%に達した。ただ、年度下期(15年10月-16年3月)には、粗利益率の前年同期比0.8ポイントの改善と為替変動効果を背景に、純利益は前年同期比6.1%増と、上期比で改善傾向を見せた。BOCIは続く17年3月通期について、マーケティング費用の伸びが緩やかなペースにとどまると予想。その大半が中国市場や旅行小売市場を対象とした新規キャンペーンに振り向けられるとみている。

BOCIは営業レバレッジ(売上高の変動が営業利益に及ぼす影響度を測る指標)の改善見通しを理由に、17年度のEBIT(利払い・税引き前利益)マージンについて前年比で10ポイントの改善を見込む。同社は17年度にフェイシャルおよびフレグランス製品に照準を合わせる方針であり、高級フレグランスラインとアンチエイジングタイプの新たなフェイシャルラインを発売する予定。現時点では旗艦ブランドが売り上げの95%を占めるが、サブブランドも16年度に25%の自律成長を達成しており、同社はより多くの資源をサブブランドに振り向ける方針という。また、17年度の出店計画は旗艦ブランドが45-55店舗、新興ブランドが21店舗。新興ブランド店のうち15店舗は、中国と日本でのオーガニックコスメブランド「メルヴィータ」となる。

16年1-3月期には日本での売り上げが1桁台半ばの伸びを回復し、中国のネット通販も好調だったが、その一方で香港、米国市場では苦戦した。インバウンド旅行市場の萎縮や地元消費の軟調が背景。BOCIはこうした地域別の販売状況はある程度、予想の範囲内だったとしている。

BOCIは利益率の改善と為替差損の縮小見通しを受け、17年度の予想EPSを12%増額修正。これに伴い、17年度予想PER23倍(国際同業銘柄並み)をあてはめる形で目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する見通しも強気に引き上げた。