A株の第三者割当計画で120億元調達へ、EPS希薄化は軽微

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国中車股フン有限公司(チャイナ・シーアールアールシー)  7.25 HKD
(05/30現在)
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中国中車はこのほど、A株の第三者割当計画を発表した。親会社CRRCグループ(中国中車集団公司)を含む5社に対し、1株当たり8.66元で13億8600万株を割り当て、総額120億元を調達する。新株数は増資前発行済株式総数の5.7%に相当し、うち50%(6億9284万株)は親会社向け。増資完了後の親会社の持ち株比率は55.6%と、増資前に比べて小幅に低下するという。BOCIは調達額の50%を有利子負債の返済に振り向ける見通しに言及した上で、同社の16年、17年のEPS希薄化率がわずか2%、4%と(負債金利を2.5%と想定)、事前予想の1桁台後半より小幅にとどまると予想。目標株価を3%引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

中国の鉄道関連各社は15年中に増資を完了させたが、同社の場合は中国南車、中国北車が合併した経緯があり(この合併を経て中国中車が誕生した)、これまで増資を延期していた。今回のA株割当価格(1株当たり8.66元)は16年予想PERで18.8倍。H株の現在株価を41%の幅で大きく上回る水準となる。同社A株を引き受ける5社のうち1社は親会社だが、残る4社は国有投資会社や未公開株投資会社。具体的な社名は国開金融有限責任公司、国開投資発展基金管理(北京)有限責任公司、上海興瀚資産管理有限公司、上海招銀股権投資基金管理有限公司となる。

BOCIの敏感度分析によると、増資後の返済対象となる有利子負債の金利を2.5%と想定した場合、調達額の50%を返済に回した際のEPS希薄化率は16年に2.0%。返済に振り向ける割合が仮に80%であれば、希薄化率は1.7%となる。また、17年に関しては負債金利を2.5%、返済部分を50%とした場合のEPS希薄化率は4.0%で、返済部分が80%であれば3.4%になるという。

一方、16年の第1弾として、同社は近く貨物車両2150両、機関車195両を受注する見込み。BOCIは下期に第2弾となる受注の獲得を予想し、16年通年では貨物車両1万両、機関車800両の受注を見込む。このほか、高速鉄道車両に関しては、8月の受注を予測。前年実績の高さから16年の受注は前年比で落ち込むとしながらも、高速列車の需要そのものは今後も上向きに推移するとみている。

BOCIは中国経済の減速や先行き不透明感を指摘しながらも、鉄道セクターのファンダメンタルズの堅調を前向きに評価。16年予想PER16.5倍をあてはめ、A株増資に伴うEPS希薄化を反映させる形で目標株価をやや引き下げたものの、株価の先行きに対しては強気見通しを据え置いている。なお、BOCIはレーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスク要因として、本土・香港株式市場の低迷が同社株の評価に影響する可能性を挙げている。