中国南部でセメント市況改善、過剰設備の是正を受けた一段の価格回復に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01313 華潤水泥控股 (チャイナリソーシズ・セメント)  2.26 HKD
(05/11現在)
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中国南部ではインフラ建設の加速を背景にセメント需要が力強い回復傾向を示しており、平均販売価格は3月時点の底値から上向きに転じた。BOCIは南部のセメント価格が年内、上昇基調を維持すると予想。その理由として、◇需要の回復、◇余剰生産問題の是正、◇前年実績の低さ――を挙げた。また、南部のセメント市況の改善は特に、このエリアを主力とする華潤水泥控股の追い風になるとの見方。同社の2016-17年予想利益を7.7-12.5%増額修正したのに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。BOCIが設定した最新の目標株価は16年予想PER(コア利益ベース)で11.9倍、16年予想PBRで0.78倍。現在株価は同8.2倍、同0.5倍の水準にある。

BOCIは最新リポートで、16年、17年のコア利益見通しを7.4-12.5%上方修正し、それぞれ前年比32.1%増、同40.2%増の水準に設定した。販売量の伸びが同3.8%、3.4%、1トン当たり粗利益の伸びが同4.0%、7.5%に達するとの予測が背景。予想平均価格については全体で3.2-3.3%上方修正した。また、16年第2四半期、第3四半期、第4四半期の1トン当たり平均販売価格に関しては、それぞれ247.1 HKドル、257.2 HKドル、276.1HKドルを見込み、1トン当たり粗利益はこの3四半期にわたって53.9HKドル、64.5HKドル、84.1HKドルと推移すると予想。16年第1四半期の同42.7HKドルを底に、前期比での粗利益の回復傾向が続く見通しを示した。

BOCIは構造的なインフラ建設需要の回復を理由に、広東省および広西チワン族自治区のセメント市場に対して楽観的。実際、この2省区に雲南省を加えた南部市場では1-4月にインフラプロジェクト向けの入札が増加した。こうしたプロジェクトは7-9月期に着工する見込み。工期は通常1-2年に及ぶため、セメント需要は少なくとも17年末まで高水準で推移する見通しとなった。BOCIはこうした点を考慮し、南部市場での16年、17年の需要見通しを、それぞれ前年比4.0%増、1.3%増に上方修正している(修正前は両年ともに横ばいを予想)。対照的に、不動産セクターのセメント需要は今のところ持ち直したとは言えない状況。ただ、この先、物件販売の好調を背景に不動産開発投資が加速すれば、セメント需要の一段の拡大余地につながるとみている。

一方、南部では新規設備の上乗せに伴うセメント余剰生産問題も17年にはほぼ解消する可能性が高い。BOCIによると、16年には新規設備の操業開始で、地元のクリンカー有効生産能力が前年比2.7%増える見通しだが、同年の需要の同4%増や業界の生産調整が新規設備の上乗せ分を全面的に相殺する見込み。これで南部の供給過剰率は15年の5.5%から16年には4.4%に改善する見通しという。